展覧会レポート

エミリー・メイ・スミス
「Avalon」

2019.9.9

エミリー・メイ・スミスの日本初個展が

「ペロタン東京」で開催中です。

1979年、テキサス州オースティンに生まれたエミリー・メイ・スミス。現在は、ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動しています。

 

エミリー・メイ・スミスさんと《Gleaner Odalisque》2019年

 

「アートがほぼ全て男性によって、男性の楽しみのために作られている」と考えるエミリー・メイ・スミス。

彼女は西洋絵画史の歴史で、女性の画家が語られることはないと考察し、人種問題やフェミニスト問題など、昨今の社会問題にも果敢に挑戦しているアーティストです。

 

社会問題を作品として取り上げる時、スミスがモチーフとして選んだのが「ほうき」です。ほうきは欧米で、家事労働の象徴とされています。

 

また、ほうきはディズニーの傑作「ファンタジア」(1940)では、師匠気取りの魔法使いに反逆する道具として活躍しました。

 

スミスはほうきについて、「誰かに支配されそうになったとき、強い力を発揮したのは、この、実に身分の低い物です」と言います。また、彼女の母が掃除婦であったため、彼女にとってほうきは身近なものであるとも語っています。

 

《Avalon》2019年

 

本展のタイトル「Avalon(アヴァロン)」は、アーサー王物語の舞台として知られる伝説の島の名前です。戦で致命傷を負ったアーサー王が、癒しを求めて渡り最期を迎えたとされています。

 

「Avalon」は、展示作品の中でももっとも小さい作品で、砂漠の地形で女性の体を描いています。色合いも美しく、桃源郷のイメージを想起させますが、スミスは「女性の虚無感を描いた」と話します。

 

《Eldorado》2019年

 

《Eldorado(エルドランド)》は楽園を意味する言葉。スミスは、社会主義を人間の欲求を意味する”言葉”として使用しています。

 

画面上の黒い液体は、油。その下の黄色い液体は金をイメージしています。彼女は、「金が垂れてきて舐めている様子を、資本主義社会と重ねて描いた」と話しました。

 

スミスの作品が日本で発表されるのは、今回が初めて。この機会をお見逃しなく。

 

information

会場名:ペロタン東京

展覧会名:エミリー・メイ・スミス

会期:2019.08.28〜2019.11.09

開館時間:11:00〜19:00

料金:無料

展覧会詳細ページ

https://obikake.com/exhibition/760/

 

 

 

Editor  静居 絵里菜

【編集後記】

現代の問題にフォーカスを当てた作品を発表する、パワフルなアーティストでした。

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