展覧会レポート
2019.9.11
近代日本画家の名品、山種美術館に集結
パイオニアの模索した手法とは?
山種美術館にて、特別展「大観・春草・玉堂・龍子 ―日本画のパイオニア―」が開催中です。
山種美術館の持つ日本の名画から、近代日本画を代表する4人の画家、横山大観・菱田春草・川合玉堂・川端龍子の作品を一堂に公開します。
展示は5段階に分けて構成されており、それぞれの画家の多彩な表現や、交流を伺うことができます。
第1章 菱田春草 ―新たな日本画の創造―
春草の作品では、「朦朧体」という手法が有名です。これは、墨による輪郭線を描かず、色彩のぼかしを多用して光や空気を表現するには? と考案されたものです。
菱田春草《月四題》のうち「秋」 1909-10(明治42-43年頃)
絹本・墨画淡彩 山種美術館蔵
彼は岡倉天心の教えのもと、大観らと共に新たな日本画の創出に挑戦し続けました。山種美術館で初公開となる《柳に鷲》も展示されています。お見逃し無く。
第2章 横山大観 ―日本画の開拓者―
日本画になじみがなくても、横山大観という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
はじめは新たな手法を試みたことなどから、強い非難を浴びていた大観。それが、精力的な制作により、東京画壇の中心的存在になっていきます。
(左から)横山大観《富士山》1933(昭和8)年 絹本・彩色、《霊峰不二》1937(昭和12)年 絹本・彩色、《心神》1952(昭和27)年 絹本・墨画淡彩 すべて山種美術館蔵
大観の中でも最も有名な作品群のひとつである富士山。《心神》は、写真撮影をすることができます!※規定アリ
第3章 川端龍子 ―日本画の枠組みに挑む―
川端龍子は、そのキャリアを洋画家としてスタートします。新聞・雑誌の挿絵なども手がけたのち、日本画へ転向します。
さまざまな手法に取り組み、大胆な発想と色使いを持つ龍子の作品は、「会場芸術」と揶揄され批判を受けます。
しかし、彼はこの言葉を、多くの人々がより身近に鑑賞できる作品という、自らの理想とする姿を表す言葉として積極的に使いました。
川端龍子《鳴子》1929(昭和4)年 絹本・彩色 山種美術館蔵
龍子が提唱した「健剛なる芸術」を象徴とするような作品。大画面で斬新な構図は、見応えたっぷりです。
第4章 川合玉堂 ―風景画のパイオニア―
川合玉堂が追求したのは、見たままを再現する”写実”とは異なる、日本画ならではの風景表現です。
漢画の様式を基礎として、身近な自然やそこに生きる人々の姿、そして玉堂が愛した山河を表現しようとしました。
川合玉堂《早乙女》1945(昭和20)年 絹本・彩色 山種美術館蔵
田んぼをまるでドローンからみているかのようなユニークな構図です。本作品は疎開時に制作されましたが、厳しい時代に描かれたとは思えないほど穏やかな雰囲気を持っています。
いつの時代もパイオニアは非難されるもの。
伝統をふまえながらも時代に即した表現を模索し、批判を浴びながらも日本画の発展に大いに貢献した4人の作品を、是非ゆっくり鑑賞してみてください。
information
会場名:山種美術館
展覧会名:【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】大観・春草・玉堂・龍子 ―日本画のパイオニア―
会期:2019.08.31〜2019.10.27
開館時間:10:00〜17:00
料金:一般1,200円、大高生900円、中学生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/272/
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◎チケットプレゼント
2019年9月30日(月)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
日本画初心者でも分かりやすい名品が揃っていますよ!