展覧会レポート
2019.10.9
東洋の美、花と鳥の表現に迫る展覧会。
東西問わず、古くから眺め愛されてきた花や鳥。特に中国を中心とする東アジアでは、花や鳥を描いた絵画「花鳥画」が絵画の主要ジャンルとされていました。
本展では、根津美術館の所蔵品から、中国と日本における花鳥表現の展開を紹介。花鳥画作品の魅力に迫ります。
そもそも「花鳥」とは? 読み方は? 「はなどり」ではありませんよ。「かちょう」と読みます。
名前の通り、花と鳥が描かれた作品のことを指します。自然を愛でる東洋ではポピュラーな表現の一つです。
中国絵画の歴史において、花鳥画がジャンルとして確立したのは、唐時代までさかのぼります。しかし、それ以前からインテリアの中に、花や鳥が文様としてほどこされていました。
青銅製の鏡のことを、銅鏡(どうきょう)と言います。古代中国を起源として、日本や朝鮮など東アジアで広く使用されました。
(左から)《双鳳瑞花八花鏡》中国・唐時代 8世紀 村上英二氏寄贈/《双鳳双獣八稜鏡》中国・唐時代 8世紀 村上英二氏寄贈
右の《双鳳獣八稜鏡》は、フチの8個の先端が尖った花弁形をしています。こちらは、8世紀にできた新しいタイプの鏡です。
中央のツマミのまわりには、獅子や馬とともに、瑞花(ずいか)と呼ばれるおめでたい花が描かれています。これは、豊年の兆しを意味しています。
《五彩孔雀文仙盞瓶》中国・明時代 16世紀
異国情緒あふれる本作は、金襴手(きんらんで*)の水注です。
胴には牡丹や孔雀などが金色で描かれています。
*金彩を加えた陶磁器のこと。
《染付白鷺文皿》日本・江戸時代 17〜18世紀 山本正之氏寄贈
本作は、白地に酸化コバルトで下絵付けをする染付(そめつけ)と呼ばれる陶磁器です。
ハスの枯れ葉で羽休めをしている白鷺が描かれています。心が休まる作品の一つです。
日本美術の中に宿る、かわいらしい小さな生き物に焦点を当てた本展。ミュージアムショップでは、展覧会オリジナル商品も販売中です。
information
会場名:根津美術館
展覧会名:新創開館10周年記念 企画展 美しきいのちー日本・東洋の花鳥表現ー
会期:2019.09.07〜2019.11.04
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
※10月11日(金)のみ 10:00~18:00(入館は17:30まで)
料金:一般 1100円(900円)、学生【高校生以上】800円(600円)、小・中学生以下無料
※( )は20名以上の団体料金
展覧会詳細ページ:
https://obikake.com/exhibition/422/
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】どの作品もよく見ると、愛らしい小鳥や花が描かれていますよ!