展覧会レポート
2019.10.7
パリ・オランジュリー美術館コレクションは、21年ぶりの開催です。
オランジュリー美術館は、パリのセーヌ川岸に経つ美術館です。元々は、テュイルリー宮殿のオレンジ室(オランジュリー)でしたが、1927年に、モネの《睡蓮》の連作を収めるために、美術館として整備された歴史を持ちます。
21年ぶりに、同館所蔵の作品69点がまとまって来日する本展では、印象派で有名なルノワールやモネをはじめ、ルソーなど、芸術の都・パリで新しい絵画表現を探究した12人の画家たちの作品が紹介されます。
ここでは、12人の画家たちの作品の中でも、特に気になった作品をいくつか紹介します。
クロード・モネ
印象派の中でももっとも有名な画家、クロード・モネ。「印象派」という言葉も、1872年に制作された《印象、日の出》に由来します。
クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年 オランジュリー美術館蔵
アルジャントゥイユは、パリから10キロ離れたセーヌ川右岸にある町です。1851年にパリと鉄道が結ばれ、週末の舟遊びや日帰り旅行をする行楽地として賑わっていました。
モネは1871年の末から6年ほど、川面の光の反映を間近で研究するために、この地に住みました。なんと、自らの舟を改造して水上アトリエを作るほど。
本作品も、アトリエ舟から描かれた作品と考えられています。
オーギュスト・ルノワール
オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃 オランジュリー美術館蔵
ルノワールは、はじめ磁器の絵付け職人でしたが、画家シャルル・グレールのアトリエでモネやシスレーなどに出会い、彼らとともに絵を描くようになりました。
《ピアノを弾く少女たち》は、ルノワールの作品の中でも、もっとも有名な作品のひとつ。柔らかな筆使いで描かれた本作品は、目の前に立つとピアノの音色が聞こえてくるようです。
アンリー・ルソー
アンリー・ルソー《婚礼》1905年頃 オランジュリー美術館蔵
「素朴派(*)」を代表する画家、アンリー・ルソー。パリ市の税関職員で、仕事の余暇に絵を描いていたため「税関吏」の通称で知られています。
《婚礼》は、結婚式の記念写真のような作品。後列右から2人目がルソー本人と言われています。よく見ると、花嫁が宙に浮いているように見えたり、不思議な絵です。
(*)美術教育を受けず、独学で制作した絵を職業としていない画家たちのこと。
マリー・ローランサン
マリー・ローランサン《牡鹿》1923年 オランジュリー美術館蔵
ローランサンは、20世紀前半に活躍した女性画家です。
バレエ「牡鹿」のための衣装と、舞台美術を依頼されたローランサン。本作は、その舞台背景幕のための習作です。
「牡鹿」というタイトルは、「若い娘たち」という意味を持ち、女性同士の愛の形を暗示するとも言われています。
ローランサンは、この作品が気に入って、しばらく居間に飾って楽しんでいたと言われています。
オランジュリー美術館の名作が揃う、貴重な展覧会。一度は見てみたいと思っていた作品を見ることができるチャンスです。
information
会場名:横浜美術館
展覧会名:横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち
会期:2019.09.21〜2020.01.13
開館時間:10:00~18:00、毎週金曜・土曜は20時まで(入館は閉館の30分前まで)
※ただし、1月10~12日は21:00は21:00まで
料金:一般1,700円、大学・高校生1,200円、中学生700円、小学生以下無料、65歳以上1,600円(要証明書、美術館券売所でのみ販売)
展覧会詳細ページ:
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】有名な作品が勢ぞろい!満足度100%の展覧会でした。