特集

日本科学未来館の新常設展をレポート!【後編】

2019.10.28

2019年10月4日(金)にオープンした、日本科学未来館「ビジョナリーキャンプ」。

 

前編では、ビジョナリーチームや展示内容についてご紹介しました。後編では、展示を完成させたビジョナリーにさらに迫ります!

 

 

今回は10代・20代のビジョナリーの考えた2030年が形になっていますが、展示にできるほどのビジョンを描くのって難しそう。

そこで、各チーム1人ずつ、「ビジョンを描くうえで大切なことは?」という質問に答えていただきました!

 

・「チーム家族」の北村 尚さん

 

大切なのは「自分の悩みに基づいているか?」です。どれだけ深刻な社会問題を取り上げても、自分で問題意識を抱えていなかったらどこかで限界が来ます。

今回の「家族」というトピックも、私たち自身の家族の悩みから始まっています。私は明るい家族だけではなく、もっといろんな関係性があるはずと思っていました。

 

家族を否定的に捉えている人にこそ、「こういう向き合い方もあるんだよ」と伝えたいし、ぜひ見に来てほしいです!

 

 

・「チーム葛藤」の高橋はるかさん

マイクを持っているのが高橋さん

 

「いかに自分事に引き寄せるか」ですね。

ビジョンの描き方は、チームですごく悩みました! 育児の問題を扱おうとしたけれど、まだ育児経験がないですから。

 

でも、自分が問題意識を持っていないと、ビジョンが深まっていかないし、良い展示にならないよねって話していました。進めていくなかで、「育児という大きなプロジェクト」に対する未知の不安が、育児をしていない自分なりの当事者意識かなと感じました。

 

 

・「チームパー」の池本次朗さん

マイクを持っているのが池本さん

 

自分の周りや興味からビジョンを作ってみることです。いいことを言おうとするんじゃなくて、「おかしいな?」と気づいた小さなことをひたすら上げていく。

 

僕の地元は人が少ないですが、楽しいことをやろうと言ったら「いいね!」と言ってくれる人がいっぱいいて。やりたいことを言って、良いリアクションをもらうのが、いろんなイメージを膨らます上で大事だと思います。

 

 

3人とも、自分の視点を大切にしているという共通点がありますね!

自分の思いをはっきりさせ、問題意識を持つということが、ビジョンを描く近道かもしれません。

 

 

展示は、ビジョナリーだけでなく、研究者やクリエイターがメンター(指導者)として関わり、たくさんの話し合いが重ねられました。

メンターの目に、ビジョナリーたちはどう映ったのでしょうか?

 

研究者の南澤孝太さん(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)、クリエイターの山口レイコさん(パーフェクトロン、クワクボリョウタさんとのアートユニット)にお話を伺ってみました。

 

 

・「チーム家族」メンターの南澤孝太さん

 

彼女たちは想像した以上に、真剣に「家族」に向き合っていましたね。問題を深く追っていくにつれて、本当に哲学者か研究者のような表情になっていくんです。まるで研究者が生まれる瞬間に立ち会ったようでしたし、「純粋に研究をするって、こういうことなんだな」と感じました。

 

 

・「チームパー」メンターの山口レイコさん

 

チームパーは優秀賞を取った中でも特に若い3人でしたから、自分とはさまざまな違いがあるのではと感じていました。けれど、6か月という準備期間の中でお互いの考えをすり合わせていくうちに、「世代も趣味も全然違うけれど、芯のところは変わらない」と思うようになりました。

 

 

とても若いビジョナリーたちですが、プロも驚く視点を持っているようです!

ワークショップへの応募を第一歩に、自分たちが思い描く未来を形にしたビジョナリーたちの展示を、ぜひ見に行ってみてください!

 

information

会場名:日本科学未来館 3階常設展「ビジョナリーキャンプ」
Webサイト:https://www.miraikan.jst.go.jp/sp/miraikanvisionaries/

 

 

Writer | ニシ

美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。 

 

Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。

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