展覧会レポート
2019.10.28
正倉院が現在まで守り伝えてきた宝物を紹介
東京国立博物館にて、御即位記念特別展「正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー」が開催中です。
東大寺大仏殿(奈良県)の北西に位置する正倉院。正倉院宝物は、光明皇后(こうみょうこうごう)が亡き聖武天皇の供養として、東大寺の盧遮那仏(るしゃなぶつ*)に捧げられた宝物に始まります。
*盧遮那仏:東大寺大仏のこと。
光明皇后は、宝物の目録である「東大寺献物帳(国家珍宝帳)」に、宮中に保管される遺品を見るたびに、亡き聖武天皇との日々を思い出して、身がくずれるほどの悲しみにくれてしまうと書き残しています。
第1展示室 展示風景 手前:正倉院宝物《平螺鈿背円鏡》中国・唐時代 八世紀 正倉院蔵(前期展示)
本展では、現在までまもり伝えてきた正倉院宝物を中心に、古代日本の国際的な文化を紹介。また、合わせて東京国立博物館が所蔵する法隆寺献納宝物(ほうりゅうじけんのうほうもつ)も展示されます。
時の権力者が愛した香り
正倉院宝物《黄熟香》東南アジア 正倉院蔵(通期展示)
仏教では香木を焚くことは、仏に対する最上の供養とされています。そのため、東大寺や法隆寺などの大寺院では、貴重な香木が保管されていました。
本品は、「蘭奢待(らんじゃたい)」という別名で知られています。中学や高校時代の歴史の教科書で、そういえば見たことがあるなあというかたも多いのでは?
「蘭奢待」は、「東」「大」「寺」の三文字が組み込まれています。
ところどころに貼られているラベルは、時の権力者である、足利義政や織田信長などが切り取った記録です。
正倉院の琵琶
正倉院宝物《螺鈿紫檀五絃琵琶》中国・唐時代 八世紀 正倉院蔵(前期展示)
本作は、「東大寺献物帳(国家珍宝帳)」に掲載されている楽器の中で、正倉院宝物が代表する優品として知られています。
主な部分は紫檀(したん)と呼ばれる木材で作られています。全面的にヤコウガイなどの磨いた貝殻で装飾する螺鈿(らでん)や玳瑁(たいまい*)を用いています。
*玳瑁:ウミガメ科のカメのこと。べっこうとして装飾品の材料になる。
天皇陛下による管理制度を中心に、人びとの努力によって守られてきた数々の宝物が、展覧できる貴重な機会です。前期(10/14〜11/4)後期(11/6〜11/24)で展示替えがあるので、ご注意ください。
information
会場名:東京国立博物館 平成館
展覧会名:御即位記念特別展「正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー」
会期:2019.10.14〜2019.11.24
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※金曜・土曜、11月3日(日・祝)、4日(月・休)は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
料金:一般1700円、大学生1100円、高校生700円、中学生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/10-2/
◎チケットプレゼント
2019年11月13日(水)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募フォーム
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】琵琶がとても綺麗でした!じっくり見てほしいです。