展覧会レポート

印象派からその先へ
― 世界に誇る吉野石膏コレクション展

2019.11.6

日本で初めての大規模展覧会

世界に誇る近代美術コレクション

 

 

三菱一号館美術館にて「印象派からその先へ ―世界に誇る吉野石膏コレクション展」が開催中です。

 

展示風景

 

吉野石膏コレクションとは?

石膏建材メーカーの吉野石膏株式会社と、石膏美術振興財団が有する美術コレクション。人々に精神的な豊かさをもたらす美術品の収集と一般公開を行ってきました。その質の高さは、世界に誇るものです。

 

本展では、国内でまとめて紹介されてこなかった貴重なコレクションを、初めて本格的に紹介します。

 

 

1章 印象派、誕生〜革新へと向かう絵画〜

 

それまでパリの絵画とは、筆致を残さず滑らかに、逸話や物語を題材とした歴史画が主流でした。

 

これに対抗する流れとして、印象派が誕生します。風景画を中心に、劇場や踊り子など都市生活が主題として取り上げられました。

 

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピエール・アダン嬢の肖像》

1887年 パステル/紙 吉野石膏コレクション

 

ルノワールは80年代後半に、輪郭のはっきりとした古典的な作風へと移行します。

本作では青い服を身に着けた少女が正面を向き、幼さを残しつつ大人へと変貌する一瞬を捉えています。

 

 

2章 フォーヴから抽象派へ〜モダンアートの諸相〜

 

印象派が形成されてしばらくすると、今度は伝統と前衛のあいだで揺れ動くフォーヴィスムが生まれます。

フォーヴィスムとは野獣派のことで、激しい色彩を特徴とする作品を打ち出しました。

 

アンリ・マティス《静物、花とコーヒーカップ》

1924年 油彩/カンヴァス 吉野石膏コレクション

 

また、キュビスムというそれまでの絵画の形態を破壊するものや、抽象絵画も生まれます。

 

展示風景より左:ワシリー・カンディンスキー《適度なヴァリエーション》

1941年 油彩/カードボード 吉野石膏コレクション

 

こちらは、カンディンスキーの作品。

皆さんご存知のピカソも、キュビスムを代表する作家です。

 

 

3章 エコール・ド・パリ〜前衛と伝統のはざまで〜

 

本章で紹介されるエコール・ド・パリを代表する作家は、それまでのフォーヴィスムやキュビスムのように共通する様式を持ち合わせていません。

 

戦前のモダン・アートの流れを離れ、写実に回帰したエコール・ド・パリは、はっきりとしたかたちでありながらも、各々が個性的で魅力的な表現を作りあげました。

 

展示風景より右:マリー・ローランサン《五人の奏者》

1935年 油彩/カンヴァス 吉野石膏コレクション

 

古典的な写実的表現は衰退したかのようにみえましたが、伝統と革新が共存しながら絡み合っていたのが20世紀美術でした。

 

フランス近代美術のエッセンスを存分に堪能できる本展。

西洋美術入門としてもおすすめです。

 

Information

展覧会名:印象派からその先へ ―
世界に誇る吉野石膏コレクション展

会場:三菱一号館美術館

会期:2019.10.30〜2020.1/20

詳細:https://obikake.com/exhibition/5851/

 

OBIKAKE gifts

本展の招待券を5組10名様にプレゼント!

〆切は11月20日23:59まで!

応募フォーム

 

 

 

Editor  三輪 穂乃香

 

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