展覧会レポート
2019.11.15
時代背景や死生観を知る
ミイラを科学する展覧会
国立科学博物館にて、特別展「ミイラ」が開催中です。
《若い男性のミイラの棺(蓋と本体)》エジプト テーベ(?)
第3中間期、紀元前950年頃 ミュンスター大学附属考古学博物館蔵
遠い昔に亡くなった人の「姿」が残っているミイラ。
本展では、世界中からじつに43体のミイラが一堂に会することで、それぞれの文化の違いや死生観を知ることができます。
貴重なミイラの中から興味深いものをピックアップしてご紹介します。
インカ帝国時代のミイラ〜南北アメリカ〜
《チャチャポヤのミイラ 典型的なミイラ包み》ペルー レイメバンバ
先コロンブス期、チャチャポヤ=インカ文化 ペルー文化省・レイメバンバ博物館
木綿布で遺体を包み、顔を赤く刺繍するのは、典型的なチャチャポヤ=インカ文化の特徴です。
当時の人々の社会の中で、皇帝や権力者などのミイラは特別な意味をもつものでした。
しかしスペイン人の征服や、キリスト教の普及により、インカ帝国時代のミイラの大部分は破壊されています。奇跡的に発見されたチャチャポヤス地方のミイラは、インカ帝国の文化を知るための大変貴重な資料です。
ミイラにされた動物〜古代エジプト〜
《ネコのミイラ》エジプト 出土地不詳
グレコ・ローマン時代、紀元前200年-前100年頃 レーマー・ペリツェウス博物館蔵
古代エジプトの神々は動物と関連づけられていて、ネコは愛の女神バステトの化身でした。
ネコのミイラのために、独自の墓地までつくられていたほどです。
一番外側の布は、四角い幾何学的な模様になるよう芸術的に仕上げられています。
人々のために自らを捧げたミイラ〜日本〜
《弘智法印 宥貞》日本 福島県 1683年頃 小貫即身仏保存会蔵
こちらは即身仏とよばれるもの。
即身仏とは、高僧や修行者が生きているあいだに食事を断ち、土中や像の中につくられた石室で瞑想を続けることで達成された特殊な状態の身体のことです。
その遺体は信者たちによって丁寧に整えられ、寺院などに安置されます。
高僧や修行者が、永遠の瞑想に入ることを入定(にゅうじょう)といい、宗教的にはその肉体は「仏」であると考えられています。
身を削って人々のために成仏したミイラと言えるでしょう。
自然にミイラとなったものから、人工的につくられたミイラまで、総合的紹介した展覧会。
今も多くの人々が、ミイラに惹きつけられる理由を探ることができますよ。
展示風景
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は11月20日23:59まで!
応募フォーム ※終了しました
特別展ミイラ ~「永遠の命」を求めて
2019.11.02~2020.02.24
開催終了
国立科学博物館
Editor | 三輪 穂乃香