展覧会レポート
2019.11.8
近代日本画の傑作集結
貴重な三部作も一堂に公開
東京国立近代美術館にて「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」が開催中です。
鏑木清方(かぶらききよかた)は、美人画の傑作を数多く生み出した画家です。
本展では、東京国立近代美術館が新たに収蔵した3部作をメインで紹介しつつ、同館所蔵の清方作品のほとんどすべてを紹介します。
幻の名作《築地明石町》とは?
左から:鏑木清方《浜町海岸》《築地明石町》《新富町》1927年
絹本彩色・軸装 東京国立近代美術館 ⓒNemoto Akio
真ん中の作品《築地明石町》は、歴史に残る近代日本画の名作であるにもかかわらず、長い間所在不明となっていました。
戦後、被害を免れた本作は、しばしば展覧会に出品されていました。当時の出品記録も残っています。しかし、1972年に清方が亡くなると事情が変わりました。1975年に出品されたのを最後に、忽然と姿を消したのです。
本作が公開されるのはじつに44年ぶりです!
文明開化の時代に生きる人々たちを描く《明治風俗十二ヶ月》
清方は、しばしば人々の暮らしを題材としていました。
鏑木清方《明治風俗十二ヶ月》1935年
絹本彩色 東京国立近代美術館 ⓒNemoto Akio
こちらは1月から12月まで、人々を描いた《明治風俗十二ヶ月》。
季節に沿った生活が見てとれます。左から、
1月:羽子板で遊ぶ女性と、かるたで遊ぶ女性
2月:梅屋敷の庭を歩く女性
3月:唄のおけいこを受ける少女
4月:花見をする女性たち
5月:菖蒲湯に入った女性
6月:客の前で金魚を捕ろうとする金魚屋
7月:とうろうの下で、涼む女性たち
8月:かき氷を作る姿。この頃から庶民でも氷が手に入るようになりました。
9月:台風が来るか、物干しから心配している女性
10月:秋の夜長、家族のささやかな風景
11月:劇場の席に体。冷えやすい席に、あんか(カイロのようなもの)が配られています。
12月:年末の雪降るよると、人力車
季節と人が調和する昔ながらの暮らしを愛した清方。作品には季節の風物が添えられています。
描かれた細部をすみずみまで味わってくださいね。
会期は全39日間と、やや短いのでお見逃しなく!
Information
展覧会名:鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開
会場:東京国立近代美術館
会期:2019.11.01〜12.15
詳細:https://obikake.com/exhibition/081-2/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は11月20日23:59まで!
Editor | 三輪 穂乃香