ミュージアムさんぽ

おびかけ編集部がゆく!
ミュージアムさんぽ【第2歩】/ちひろ美術館・東京

2019.11.22

「おびかけ編集部がゆく!ミュージアムさんぽ」とは

企画展だけではない、ミュージアムの魅力について、編集部がたっぷり取材します!

 

今回は、東京・練馬区にある「ちひろ美術館・東京」へ。いわさきちひろの自宅兼アトリエ跡地に建つ、世界初の絵本美術館として親しまれています。

 

ちひろが愛した草花が咲く庭や、忠実に復元されたアトリエなど、いわさきちひろ本人について触れることができる空間に焦点を当て、紹介していきます。

 

ちひろ美術館・東京 外観 撮影:中川敦玲

 

 

いわさきちひろ とは?

 

いわさきちひろ(1918〜1974)は、福井県武生(現・越前市)に生まれ、東京で育ちました。

 

青春時代に戦争を体験したちひろは、「世界中のこども みんなに 平和としあわせを」という言葉を残し、1974年、55歳という若さで死去するまで、「子ども」をテーマに作品を描き続けました。いわさきちひろ 1973年4月 54歳

 

 

ちひろのアトリエ

 

美術館が建つ、この場所は、ちひろが画家として生きたそのほとんどの時期(1952~1974年)を過ごした場所です。

 

忠実に再現された「ちひろのアトリエ」

 

こちらのアトリエは、1963年の増築時に2階につくられ、以後11年間使用されたもの。ちひろの仕事が最も充実していた1972年頃の様子を復元しています。

 

ちひろは南に向かって大きく開いた窓の外に広がる木立や、ベランダに並べた季節の鉢植えなどを眺めながら、絵筆をとり、数々の作品を生み出しました。

 

ちひろは左利きなのでアトリエの机をみると、絵筆が左側に置いてあるのが分かります。

 

 

 

ちひろが愛した草花が咲く「ちひろの庭」

 

 

四季折々の草花が咲く「ちひろの庭」。春から夏にかけてが一番見頃です。

 

庭仕事が好きだったちひろは、たくさんの草木を育てました。その花々はよく作品の中に登場しています。

 

展示室とちひろのアトリエをむすぶガラス通路から、自由に出入りが可能です。

 

 

子どもに優しい美術館

 

ちひろ美術館では、子どもが初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」として、親しんでもらえるよう、親子で楽しめる企画展やイベントが開催されています。

 

また、あかちゃんと一緒に安心して過ごせるよう、館内はバリアフリー対応! ベビーカーもOKと館内施設も充実しています。

 

こどものへや 撮影:嶋本麻利沙

 

絵本を読んだり、木と布のおもちゃで遊べるスペース、こどものへや。

 

授乳室を完備し、流し台や授乳用のソファー、授乳クッションなどがあり、あかちゃん連れの方でも安心して楽しめます。

 

 

ゆったりとしたカフェスペースも♪

 

絵本を楽しみながらゆったりとした時間を過ごすことができる「絵本カフェ」は、館内人気スペースの一つです。

 

 

「絵本カフェ」(こちらの利用には、入館が必要です)

 

できるだけオーガニック・無添加の食材を取り入れているため、小さな子どもやあかちゃんに優しくて安心。

 

1番人気のメニューは、「いちごのババロア」です。ちひろが大好きだった「新宿 すずや」のいちごのババロアを、60年前のレシピをもとに再現しました。

 

「いちごのババロア」(数量限定 / 木曜日〜週末限定(曜日変更有)メニュー)¥500(税抜)

 

 

大人と子どもが楽しめる絵本の図書室

 


 

ちひろ美術館が選んだ国内外の絵本約3000冊をはじめ、ちひろに関する本、ちひろが生きた時代を知る本、子どもの幸せや平和に関する本が配架されています。

 

来館者が自由に感想を残せる「ひとことふたことみこと」のコーナーには、開館以来30年間の感想ノートが製本され、自由に読むことができます。なんと、その数300冊!

 

数年ぶりに来館した方が、「ひとことふたことみこと」を読んで、懐かしくなることも。来館の思い出に、書き残してみては?

 

「ひとことふたことみこと」コーナー

 

 

絵本のグッズが目白押し!

 

木のぬくもりが感じられるミュージアムショップ(こちらの利用には、入館が必要です)

 

ミュージアムショップも充実。ちひろをはじめ、世界中の絵本作家のグッズや、美術館が選んだ絵本、おもちゃ、画材などを販売しています。

 

ポストカードなどもあるので、来館のお土産にぜひ。

 

 

現在出版されているちひろの絵本と書籍も販売されています。

 

 

気になる質問、美術館の人に聞いてみました!

 

―美術館開館に至った経緯は?

 

ちひろの死後、「もし、人々が望むならば、ちひろの残したものを、ささやかであっても人類の文化遺産のひとつとして位置づけたい」と願う遺族によって、作品のすべてと著作権の一部が寄贈され、財団が設立されました。

 

さらに、全国の人々から寄せられた建設を願う署名と寄付に支えられて、1977年に美術館が誕生しました。

 

 

―どのような作品を所蔵していますか

 

絵本の原画などを中心に所蔵しています。約9500点のちひろ作品を含め、世界34の国と地域、207名の絵本作家による27200点を所蔵しています。

 

展示室3:いわさきちひろの素描 展示風景(撮影日:11月1日)

 

基本的に、東京館、安曇野ちひろ美術館(*)でそれぞれ年4回展覧会を企画しています。

 

(*)安曇野ちひろ美術館:1997年にちひろ美術館の20周年を記念して建てられた美術館。信州は、ちひろの両親の出身地で、ちひろにとって幼いころから親しんだ心のふるさとでした。

 

ちひろの作品は必ず展示していますので、展示ごとに異なるちひろの作品を鑑賞することができます。

 

 

大人はもちろん、小さな子どもも楽しめるちひろ美術館・東京。平和を愛したちひろの人柄に触れることができる、優しい美術館です。

 

 

 

Information

ちひろ美術館・東京

開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日:毎週月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)※GW・8/10〜20は無休、年末年始(12/28〜1/1)、冬季休館(2/1〜2月末日)、展示替えのため臨時休館あり

所在地:〒177-0042 東京都練馬区下石神井4-7-2

公式HP:https://chihiro.jp/

アクセス:

・西武新宿線上井草駅下車徒歩7分
・JR中央線荻窪駅より西武バス石神井公園駅行き(荻14)「上井草駅入口」下車徒歩5分
・西武池袋線石神井公園駅より西武バス荻窪駅行き(荻14)「上井草駅入口」下車徒歩5分

入場料:一般 800円、高校生以下無料

Editor  静居 絵里菜

人生で初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」らしく、大人も子どもも楽しめるところでした。

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