展覧会レポート

北斎没後170年記念
北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展/展覧会レポート

2019.12.3

信州・小布施から北斎晩年の傑作がやってきた!

 

 

すみだ北斎美術館で「北斎没後170年記念 北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展」が開催中です。

 

 

江戸の浮世絵師・葛飾北斎(かつしか ほくさい/1760-1849)は、90年の生涯で、代表作「冨嶽三十六景」をはじめ、多くの作品を世に残しました。その作品は、国内外で高い人気を得ています。

 

2019年は、北斎の没後170年と節目の年。それを記念し、北斎館(長野県・小布施町)所蔵の名品が、すみだ北斎美術館で展示されています。

 

本展では、初期から晩年までの肉筆画(*)や錦絵など、前後期で北斎館所蔵の作品約130点が紹介。普段は小布施・北斎館でしか見られない作品が、東京で見られる珍しい機会です!

 

*肉筆画:版画技法を用いず絵師が自筆で描いた浮世絵のこと。

 

長野県と北斎の関係は?

 

北斎は80代でしばしば小布施を訪れました。

 

きっかけは、天保の改革によって、江戸では絵の制作が制限されたから、小布施の豪農・豪商の高井鴻山(たかい こうざん/1806-1883)に招かれたから、などさまざまな説があります。

 

小布施では、鴻山のサポートを受け、碧漪軒(へきいけん)というアトリエを与えられ、大変恵まれた環境で、北斎は大作を残したといわれています。

 

北斎の祭屋台天井絵

(左から)《上町祭屋台天井絵「男浪」》弘化2年(1845)頃 小布施町上町自治会所蔵 通期展示/《東町祭屋台天井絵「鳳凰」》弘化元年(1844)頃 小布施町東町自治会所蔵 通期展示 いずれも北斎館寄託

 

鴻山からの援助を受け、数々の傑作を生み出した北斎。その中でも、東町祭屋台、上町祭屋台の天井絵は、北斎の描いた世界観が色濃く残る作品です。

 

本展では、両祭屋台の天井を飾る4図の中から「男浪」と「鳳凰」を展示。その迫力のある作品は、展示室内でもひときわ目立ちます。

 

 

肉筆画の名品も

 

北斎館は「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」と称するほど、肉筆画のコレクションが充実しています。

(左から)《日新除魔 十月十日》天保13〜14年(1842-43)頃 北斎館所蔵 前期展示/《日新除魔 十月廿五日》天保13〜14年(1842-43)頃 北斎館所蔵 前期展示

 

こちらの作品は、北斎が遊び歩いてばかりの孫の悪魔払いとして毎日描いたもの。描かれているのは唐獅子と獅子舞です。

 

作画のいきさつが知られるものであり、北斎の生涯を知る上でも貴重な作品です。

 

本展では、「日新除魔」を前後期に分けて4点ずつ展示。写真の作品が見られるのは、12月15日(日)までなので、お見逃しなく。

 

 

北斎が亡くなった年に描かれた作品

 

《富士越龍》嘉永2年(1849) 北斎館蔵 前期展示

 

富士山を取り巻く黒い雲の中を、龍が天を目指して昇っていくこちらの作品。右下には「九十老人卍筆」と描かれており、北斎が亡くなった年に描かれたことがわかっています。

 

天へ高く昇っていく龍の姿からは、画業の高みへともっと昇りつめたいという、最晩年にして北斎の尽きない向上心がうかがえる作品です。

 

この作品を描いた3ヶ月後に、北斎は90歳の生涯に幕を閉じました。天に昇る龍は、北斎が自分の姿を見立てたとも解釈できます。

 

展覧会コラボメニューもあります!

 

撮影:すみだ北斎美術館 ※写真はイメージです

 

すみだ北斎美術館からほど近い、カフェ・ORI TOKYOでは本展のコラボメニューが販売中です。

 

コラボメニューは、小布施の栗をふんだんに使った栗蒸しようかんと栗ぜんざいです。(税抜 900円)販売は本展終了の2020年1月19日(日)まで。展覧会の後に、こちらも合わせて楽しめます。

 

北斎館の名品が一堂に会する本展。「ドラゴン割」など、展覧会の観覧料が20%OFFになる「特別な割引サービス」も多数あります。詳細は、美術館公式サイトをご覧ください。

 

 

 

information

会場名:すみだ北斎美術館

展覧会名:北斎没後170年記念 北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展

会期:2019.11.19〜2020.01.19

前期:11/19〜12/15 後期;12/17〜1/19

※前後期で一部展示替えあり

開館時間:9:30-17:30(入館は17:00まで)

休館日:月曜日(ただし、2020年1月13日は開館)、年末年始(12月29日~2020年1月1日)、2020年1月14日(火)

料金:一般1,200円、大高生・65歳以上900円、中学生400円、障がい者400円、小学生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/5999/

美術館公式サイト:https://hokusai-museum.jp/

Editor  静居 絵里菜

【編集後記】「鳳凰」「男浪」の迫力は満点◎ 北斎の肉筆画も見ることができて、大満足です!

この記事をシェアする
一覧に戻る
TOP