展覧会レポート
2019.12.20
日本における「本格抽象絵画」の先駆け!
知る人ぞ知る画家、坂田一男を読み解く展覧会
東京ステーションギャラリーで「坂田一男 捲土重来(けんどちょうらい)」が開催中です。
坂田一男(1889-1956)は、岡山県出身の画家。日本における抽象絵画の先駆けとして評価されています。
本展では坂田の生前・没後、故郷の岡山以外で大きく紹介されることがなかった仕事の全貌が、「現在の画家として」紹介されます。
フランスで最前衛の画家として活躍
坂田は第一次世界大戦後の1921年にフランスに渡りました。拠点としていたパリで、その当時活躍していたフェルナン・レジェから絵画を学びました。
(左から)坂田一男《キュビスム的人物像》1925年 岡山県立美術館蔵/坂田一男《裸婦》1925年 個人蔵/坂田一男《浴槽の二人の女》1928年 目黒区美術館蔵
ロボットのように描かれた《キュビスム的人物像》は、レジェが一時期取り組んでいた人の描き方に似ています。
ところどころ透き通った色合いで描かれている人体の部分を目で追うと、画面の手前と奥が混ざり合って見える不思議な感覚があります。
水害の跡を物語る作品
(正面左から)坂田一男《静物Ⅱ》1934年 大原美術館蔵/坂田一男《静物Ⅰ》1934年 大原美術館蔵
坂田のアトリエは海抜の低い干拓地にあり、1944年と1954年の2度にわたって水害に遭いました。そのため、多数の作品が破損、紛失しています。
まったく同じサイズ、モティーフで描かれた本作は、水害の跡を物語る作品の一つ。《静物Ⅱ》の画面には、大きく亀裂が走り痛ましさと同時に凄みを感じさせます。
同時代の画家の作品も
山下菊二《射角キャンペーン5月26日》1960年 東京国立近代美術館蔵
坂田と同時代に活躍した画家の作品も出品されています。
こちらは、米軍基地拡張に反対する砂川闘争に参加しながら描いた自作に、ネガフィルムをかぶせたような作品。迫力があります。
山下と坂田は直接の関係はありませんが、画面から共通して感じられるボリュームに注目してみてください。
出品作品は、約300点! 展示室内を埋め尽くす圧巻の作品たちをお見逃しなく。
展示風景
information
会場名:東京ステーションギャラリー
展覧会名:坂田一男 捲土重来(けんどちょうらい)
会期:2019.12.07〜2020.01.26
開館時間:10:00 〜18:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(1月13日、1月20日は開館)、12月29日〜1月1日、1月14日(火)
料金:一般1,000円、高校・大学生800円、中学生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/6559/
美術館公式サイト:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は2020年1月8日23:59まで!
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】知る人ぞ知る画家・坂田一男の回顧展です! 作品数に圧倒されました。