展覧会レポート
2019.12.26
写真と絵画で「見る」を問い直す
アーティスト 日本初個展 茅ヶ崎美術館にて開催中
茅ヶ崎市美術館にて「城田圭介-写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS-」が開催中です。
展示風景
城田圭介は、写真と絵画を使った独自の制作で注目されていて、海外にも多くのコレクターがいます。
何気なく撮影されたスナップ写真や新聞紙を使った作品から、“見る”行為を問い直します。
それでは、城田の代表シリーズをいくつかご紹介します。
A Sense of Distance
《A Sense of Distance #12》2003年 パネルに写真、アクリル 作家蔵
城田の初期の代表作ともいえるこちらのシリーズ。
何気なく撮影された街の写真をもとに、その周囲に広がっていたであろう風景を描き足しています。
「写真の続きをペイントすること」で、それまで写真に写されていた内容が少しずつ変化する。記憶や存在が、いかに不確かなものかわかります。
Tourist
《August 15, 2018(Nijubashi Bridge)》2019年 油彩、キャンパス 作家蔵
観光名所で写された写真から、人物のみを油彩で描いたシリーズ。
観光客は、列を作ったり、ポーズをとったり、どこでも同じような振る舞いをします。
歴史ある建造物に対して、一過性の存在とも言える人間に焦点をあてながら、それらを油彩という歴史ある技法で描いています。
Tracing Newspaper in Paint
《2011年(平成23年)11月8日(火)国際、地域》新聞紙にアクリル絵具、マット、額装 作家蔵
この配置。見覚えがありませんか? そう、新聞紙を使っています。
こちらは、新聞の写真部分に、アクリル絵具を使ってトレースし、描き重ねた作品です。
新聞のような報道写真は、1日でその役割を終えることがほとんど。それに対し城田は、描く行為を加えて新たな価値を見出そうと試みました。
Background
《Background #12》2013年 写真に油彩 作家蔵
こちらのシリーズはどれも、城田の幼少時代の写真を使っています。写真の人物部分を、背景を描くことで消しています。
写真そのものの劣化や、写り込んでいる建物などから時代の経過を感じます。それと同時に、写真に写っているであろう人の生い立ちや、記憶などについても想起させるようなしかけになっています。
展示風景
ササッと見ると、うっかり写真作品と見間違えそうになる城田の作品。
どの作品も必ず「丁寧に描く」行為が加えられています。
そんな作品の数々をじっくりと鑑賞することで、“見る”、“考える”ことが問い直されます。
作家本人も“見る”ことを、「描く」ことでより見ようとしています。
会場内は写真撮影もOKですが、ぜひ実物を時間をかけて楽しんでくださいね。
Information
展覧会名:城田圭介-写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS-
会場:茅ヶ崎市美術館
会期:2019.12.14〜2020.02.11
詳細:https://obikake.com/exhibition/6400/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は1月10日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
展覧会としても面白いのですが、トレースの素晴らしさにも衝撃! 生で見てほしい冬の展覧会です♪