展覧会レポート

上村松園と美人画の世界

2020.1.13

美人画の世界の豊かな広がりを堪能

山種美術館蔵の上村松園作品18点が公開中

 

山種美術館で「上村松園と美人画の世界」が開催中です。

 

展示風景より、上村松園《牡丹雪》1944(昭和19)年 絹本・彩色

 

美人画の名手として高く評価された日本画家・上村松園(うえむら しょうえん)。

その気品のある清らかな作品の数々は、今でも多くの人々から愛されています。

 

本展は、そんな松園の作品を余すことなく紹介しながら、同時代に活躍した鏑木清方や、近現代の日本画家が描いた、多彩な女性像を展示します。

 

 

第1章 上村松園 ―珠玉の美―

 

松園は幼いころから、人物を描くことを特に好み、画塾での指導や古画の熱心な模写などで、伝統的な人物表現の技術を身につけました。

この章では、女性の身体の丸みや仕草の表現など、松園らしい生き生きとした作品を紹介します。

 

*昔の人が描いた絵のこと。

 

上村松園《春のよそほひ》1936(昭和11)年頃 絹本・彩色

 

結われた髪に飾られた、桜のかんざしが春の季節を告げているこちらの作品。

一本一本丁寧に描かれた髪やまつげ、柔らかな着物の線にうっとりします。

また、女性がかんざしに手を添えるポーズは喜多川歌麿の作品から影響を受けたのでは?とも言われています。

 

時代風俗を作品に織り交ぜ、どこか現実味を感じさせるのも、松園の特徴と言えるでしょう。

 

 

第2章 美人画の精華

 

1907年より政府主催の展覧会が開催されたことで、美人画に強い関心が寄せられていきました。

その中で、美人画人気の高まりに一役買ったのが、松園や鏑木清方(かぶらききよかた)です。

 

鏑木清方《伽羅》1936(昭和11)年 絹本・彩色

 

こちらは眠りから覚めた人妻を描いたもので、江戸中期の文化の一つだった、香枕(こうまくら)を使っていた様子です。

和装の色の組み合わせ、帯の市松模様の美しさなど、清方のセンスが光っています。

 

*髪に香り付けをするための枕。伽羅(きゃら)という香木がよく使われていたことから、伽羅枕とも呼ばれるそう。

 

この章では他にも、画家たちが趣向を凝らして表現した、華やかな美人画を楽しむことができます。

 

第3章 物語と歴史を彩った女性たち

 

日本では古来より、物語をテーマにした絵が数多く生み出されています。松園も、表面的な美しさだけない、女性の内面性や感情を表した人物画を模索するようになっていきます。

本章では、女性が描かれた作品を、物語と歴史という視点から紹介します。

 

展示風景より、服部有恒《淀殿》1954(昭和29)年 紙本・彩色

 

こちらは豊臣秀吉の側室だった、淀殿(よどどの)を描いたもの。

秀吉の正妻・北政所(ねね)と並んで、たびたび題材として取り上げられています。

激動の人生を歩んだ彼女は、大阪の陣で徳川家康に敗れたのち、大阪城にて息子・秀頼と自害しています。

 

 

女性の表面的な美しさ、内面に秘めた強さを表現した作品が多数展示された本展。

山種美術館が所蔵する、素晴らしい作品をぜひ間近で見てみてくださいね。

 

 

展示風景

 

 

Information

展覧会名:上村松園と美人画の世界

会場:山種美術館

会期:2020.01.03〜03.01

詳細:https://obikake.com/exhibition/6876/

 

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本展の招待券を5組10名様にプレゼント!

〆切は1月23日23:59まで!

応募フォーム

 

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Editor  三輪 穂乃香

山種美術館に行くと、日本画っていいな〜♪ と思います。

キレイで繊細で立派で。是非実物を観てほしいです!

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