展覧会レポート
2020.1.28
毎年恒例の「DOMANI 明日展」が
国立新美術館にて開催中
国立新美術館にて「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」が開催中です。
今年で22回目となる本展。文化庁が行う、「新進芸術家海外研修制度」の発表の機会として開催されてきました。
2020年は、「傷ついた風景の向こうに」をテーマに、11名の作家が作品を展示します。
テーマ「傷ついた風景の向こうに」の着想源
展示は、写真家・石内都の作品から始まります。
石内都《Mother’s 25 Mar 1916 #46》2000/2004年 国立国際美術館蔵
代表作とも言える「傷跡」のシリーズは、人の皮膚を至近距離で撮影したものです。
からだにある傷跡は、当人が生き残った再生の証であり、消えるのことない記憶のかたまりでもあります。
本展のテーマは、石内作品から着想を得たそうです。
75年目を迎える被爆地をとらえた作品
本展は、人間が経験してきた、地震などの天災や、戦争などの人為的災いにより生じた「傷跡」について、時間を得て生まれた表現を集めています。
展示風景より、藤岡亜弥「川はゆく」2020 2013-19年 作家蔵
藤岡亜弥は、広島の爆心地まわりを、「川」からとらえた写真を発表しています。
いま広島市内を流れる川からはイメージのつかない、もう無くなってしまった「ヒロシマ」。
広島で平和教育を受けて育った藤岡は、あらゆる視点から「川」を撮り続けています。
東日本大震災をはさんで制作された大規模インスタレーション
宮永愛子《景色のはじまり》2011-2012年 高橋龍太郎コレクション、作家蔵 撮影:宮島径
こちらのインスタレーションは、作家・宮永愛子によるもの。葉の葉脈を見つめていたときに、それが地図のように見えたことから始まったそうです。
日本中のあちこちから集めたキンモクセイの葉がなんと12万枚も使用されています。
それらをすべてつないで新しい地図として表現しています。
傷ついても生き残り、再生する風景を集めた本展。
作家それぞれの「傷ついた風景」を通して、「明日」を見つめてみてください。
Information
展覧会名:DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに
会場:国立新美術館
会期:2020.01.11〜02.16
詳細:https://obikake.com/exhibition/073-2/
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Editor | 三輪 穂乃香