展覧会レポート
2020.4.7
絵画・音+映像・インスタレーション!
らせん構造の「さざえ堂」を、現代の視点でとらえる展覧会!
太田市美術館・図書館で、「さざえ堂」と「らせん」をテーマとした作品を紹介する展覧会が、開催中です。
関東から東北に点在する、らせん構造が特徴的な仏堂「さざえ堂」。3層構造の空間に、秩父、坂東、西国の計100体の観音像を安置することで、「百観音巡礼」を手軽に実現することができる建造物です。
群馬県太田市には、2つのらせん状の建物があります。一つは、江戸時代後期に建立された「曹源寺(そうげんじ)さざえ堂」。もう一つは、2017年春に開館した、太田市美術館・図書館です。
本展では、三瀬夏之介、蓮沼執太、持田敦子の3人のアーティストが、「さざえ堂」と「らせん」をテーマとした作品を紹介。また「百観音巡礼」にならい、画家・高橋大輔の絵画作品100点が展示されています。
さっそく、各展示室ごとに展覧会を見ていきます!
圧巻!天井高6メートルの空間を使用した作品!
(中央)《ぼくの神さま》2013年
展示室1(1階)では、日本画家の三瀬夏之介の作品を中心に紹介されています。中でも、展示室中央の《ぼくの神さま》は圧倒されます。
また同空間には、画家の高橋大輔の絵画も展示。なんと、2人がコラボレーションした作品もありました!
(左)《山形の絵》(部分)/(右)高橋大輔 絵画作品
遊び心満載の展示にも注目です!
美術館とさざえ堂の音を聞き比べる作品も
展示室1と展示室2(2階)の間にあるスロープでは、音楽家・アーティストの蓮沼執太の作品が展示されています。
蓮沼執太《Walking Score(spiral)》2020年 作家蔵
こちらは、蓮沼本人がマイクを転がしながら歩き、音を採集するフィールド・ワーク・フィールドレコーディング作品《Walking Score》シリーズ最新作です。
上の写真では、曹源寺さざえ堂の音が流れています。
蓮沼執太《Walking Score(spiral)》2020年 作家蔵
こちらのスピーカーからは、同館内で採取した音が流れています。美術館とさざえ堂という異なる2カ所で撮影・編集された映像と音が、ひとつの空間で重なる、不思議な作品です!
回転する展示室!?
持田敦子は、美術館の展示室を回転させるインスタレーションが展示されています。
持田敦子《距離の問題、空間の変容、位置のゆらぎ》2020年 ※こちらは、撮影のために特別に回していただきました。
こちらの展示室は、写真のように定期的に壁が回転し、絵画の展示構成が変わり続けるという、ユニークな作品です。
画家・高橋大輔のソロ展示も!
3名のアーティストに寄り添って展示されていた、高橋の絵画作品。本展のエンディングである展示室3(3階)では、高橋の作品のみ紹介されています。
展示室3 展示風景
3名のアーティストの「現代のらせん」をテーマとした作品と、「100枚の絵」をテーマとする1名の作品が絡み合った本展。太田市美術館・図書館がまさに「現代のさざえ堂」として、美術巡礼のスポットとなる、ユニークな展覧会でした。
information
会場名:太田市美術館・図書館
展覧会名:太田の美術vol.3「2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵」
会期:2020.02.06〜05.10
※3/27~当面のあいだ、館全体の一部利用制限があります。おでかけの際は、美術館公式サイトをご確認ください。
開館時間:10:00〜20:00(日曜・祝日は18:00まで)
※企画展観覧は18:00まで(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(5月4日は祝休日のため開館し、5月7日休館)
料金:一般300円
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/8881/
公式サイト:https://www.artmuseumlibraryota.jp/
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Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】三半規管の弱い私は、作品に見とれながら館内を回っていたら、少し酔いました(笑)