展覧会レポート
2020.2.19
ガウディやピカソが愛したバルセロナ
世紀末カタルーニャの華麗な芸術を紹介
東京ステーションギャラリーにて「奇蹟の芸術都市バルセロナ」が開催中です。
展示風景より正面:ジュゼップ・リモーナ《初聖体拝領》1897年 多彩色ステゥッコ カタルーニャ美術館蔵
スペインが誇る都市・バルセロナ。食文化やスポーツ、世界遺産などで世界中の人々から愛される華やかな国際都市です。
本展では、都市の近代化が進んだ1850年代から、1930年代後半のスペイン内戦に至るまでの約80年間、もっともカタルーニャ芸術が成熟した時期からよりすぐりの約130点を紹介します。
それでは、編集部のオススメをご紹介します。
ブルジョワジーたちの美的価値観を反映した絵画
19世紀後半、華やかな生活を送るバルセロナの上流階級の人々は、彼らの価値観を反映した絵画を好みました。
展示風景より左:ラモン・カザス《サンタ・マリア・ダル・マール教会を出発する聖体祭の行列》
1896-98年頃 油彩/カンヴァス カタルーニャ美術館蔵
理想とされた豪華で華麗、かつ心地よい生活を表現した作品には、彼らの生活を彩る高価な家具屋美術品も描かれています。
ルマー・リベラ《夜会のあとで》1894年頃 油彩/カンヴァス カタルーニャ美術館蔵
©Museu Nacional d’Art de Catalunya, barcelona(2019)
ルマー・リベラ《夜会のあとで》では、鮮やかな衣装を身にまとい、舞踏会の終わりにリラックスした女性の姿が描かれています。
パリへの憧れと新しい芸術表現
19世紀末、多くの芸術家はパリへの憧れを抱いていました。
サンティアゴ・ルシニョルもその一人で、パリ・モンマルトルへ2年間行ったあとにこちらの作品を描いています。
展示風景より右:サンティアゴ・ルシニョル《青い中庭》1892年頃 油彩/カンヴァス ムンサラット美術館蔵
その後、ルシニョルは本作が描かれた小村・シッジャスで「ムダルニズマ祭」を主宰。美術・音楽・演劇のジャンルを超えた総合芸術を目指しました。
進化し続けるカタルーニャ芸術
1898年の米西戦争敗北をきっかけにスペイン政府との対立が激しくなったカタルーニャでは、より民族性を重視した思想が強まります。
芸術においても「ノウサンティズマ*(1900年代思想)」と呼ばれる動きが生まれました。
*かつて繁栄した地中海文明への回帰を特徴にした思想のこと。
展示風景より左:ジェビエ・ヌゲース、リカル・クレスポ《グラス》1929年 ガラス・エナメル カタルーニャ美術館蔵
こちらのグラスも、カタルーニャの民族工芸が復興されて制作されたもの。
1929年のバルセロナ国際博覧会では、それまでの様々な芸術表現を重視してきた「ムダルニズマ」から、「ノウサンティズマ」へ移行したことを印象づける場となりました。
時代の波に飲まれながらも前進し、繁栄してきたカタルーニャ芸術。絵画や工芸、彫刻、宝飾品など多角的に楽しめますよ。
展示風景:アントニ・ガウディがデザインした椅子と扉
Information
展覧会名:奇蹟の芸術都市バルセロナ
会場:東京ステーションギャラリー
会期:2020.02.08〜2020.04.05
詳細:https://obikake.com/exhibition/6596/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は3月4日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
バルセロナで、パエリアを爆食いした記憶が・・・。