四季草花図屛風「伊年」印
日本・江戸時代 17世紀
根津美術館蔵
武蔵野図屛風
日本・江戸時代 17世紀
根津美術館蔵
古来、人々は自然に親しみ、時の移り変わりを敏感にとらえてきました。鳥の声や虫の音に季節の到来を感じ、散り急ぐ桜や色づく紅葉、満ち欠けを繰り返す月にも移ろう美を見出しました。こうした自然の美に対する細やかな感性は、歌人たちが残したおびただしい和歌や、四季折々の草花や自然の事象がさまざまに造形化された美術作品にも結実しています。
花を愛でる心は梅や桜、藤などの花木にとどまらず、野の小さき草花にもあまねく向けられました。春夏秋冬の花々を季節の順に描いた屏風は、和歌とともにあった平安時代の四季絵や月次絵(つきなみえ)の遠い記憶を思い起こさせます。物語絵にみる季節の花々は、場面の設定をより明確に伝える効果をもたらしましたが、四季の花が同時に咲き揃う庭は、特殊な空間を演出し、浄土あるいは異界を連想させる装置となりました。
月は時間の推移を知り得る時計や暦の代わりとして、人々にとって現在よりも身近な存在でした。「仲秋の名月」のように、秋の風物としてその美しさをたたえられる一方で、日ごとに姿を変える様子には、自然の生命力の移ろいを感じさせる秋への哀愁が重ねられました。そうした思いは歌に詠まれ、また身の回りの工芸品の意匠にも反映されました。
本展では、四季の草花や月など自然の風物が表現された絵画や工芸、およびそれらを詠んだ和歌が記された古筆切などをご覧いただきます。日本の季節や自然を親しく感じていただければ幸いです。
企画展 「花を愛で、月を望む―日本の自然と美―」
2021.07.22~2021.08.22
開催終了
10:00~17:00
(入館は閉館30分前まで)
毎週月曜日(ただし、8/9は開館)
【日時指定予約制】
来館前日までに、美術館公式サイトより日時指定入館券をご購入ください。
(根津倶楽部会員、招待はがきをお持ちで入館無料の方も予約が必要です。)
オンライン日時指定予約
一般 1300円 (1100円)、 学生 1000円 (800円)
※オンライン日時指定予約の定員に空きがある場合のみ、当日券(一般1400円)を受付で販売いたします。
※中学生以下は無料
※( )内は障害者手帳等提示者及び同伴者1名の料金。
根津美術館
東京都港区南青山6-5-1
・地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線 〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分/B4出口(階段とエスカレータ)より徒歩10分/B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
・都バス渋88 渋谷~新橋駅前行 〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分
根津美術館