古賀春江《白い貝殻》1932年(昭和7)油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵
三岸好太郎《海と斜光》1934年(昭和9)油彩/カンヴァス 名古屋市美術館蔵
フランスの詩人アンドレ・ブルトンが中心となって推し進めた「シュルレアリスム」は、20世紀において最も大きな影響をおよぼした芸術運動です。彼らは理性を中心とする近代的な考え方を批判し、精神分析学の影響を受けて無意識の世界を探究することで「超現実」という新たなリアリティを追い求めたのです。やがてシュルレアリスムは詩や思想だけではなく絵画の分野にも拡大し、ドイツ出身の画家マックス・エルンスト(1891-1971)による実験的な作品に美しさを見いだしました。またスペインからこの運動に加わったサルバドール・ダリ(1904-1989)は「偏執狂的=批判的」方法という独自の理論にもとづいて絵画を制作し、美術だけではなくファッション界をも巻き込む大きな流行を作り出していきます。
日本において1928年にブルトンが発表した『シュルレアリスムと絵画』は、瀧口修造(1903-1979)によって早くも1930年に日本語に翻訳され刊行されています。1930年代を通して「超現実主義」という訳語のもと最新の前衛美術のスタイルとして一大旋風を巻き起こします。しかしこうした広がりのなかでシュルレアリスムは、第二次世界大戦へと向かう時代の閉塞感と響き合い、しだいに現実離れした奇抜で幻想的な芸術として受け入れられていきました。本展は、シュルレアリスム運動からどのようにシュルレアリスム絵画が生まれたのか、さらに日本における超現実主義への展開に焦点をあてる世界で初めての展覧会です。
シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の「シュール」
2019.12.15~2020.04.05
開催終了
9:00~17:00(※最終入館は16:30)
会期中無休
大人 1,800円 シニア(65歳以上)1,600円
大高生 1,300円、中学生以下無料
ポーラ美術館
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
0460-84-2111(受付時間9:00~17:00)
箱根登山鉄道「強羅」駅から施設めぐりバス「湿生花園」行バスで「ポーラ美術館」下車すぐ
公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館