アルフォンス・ミュシャ
シリーズ〈宝石〉より左から「トパーズ」「ルビー」「アメジスト」「エメラルド」
1900年 インテック蔵
エミール・オルリク 「ポトロフスキー手袋店」
ポスター 1897年 宇都宮美術館蔵
この展覧会は、チェコ出身のふたりのアーティスト、アルフォンス・ミュシャ(Alfons Mucha 1860-1939)とエミール・オルリク(Emil Orlik 1870–1932)に光をあて、ジャポニスム(日本趣味)の影響を受けて展開した同時代のチェコの美術や、ミュシャとオルリクの影響を受けた日本の作家たち、さらにはオルリクと交流のあったウィーンやボヘミア地方の作家たちを採り上げ、グラフィックを舞台に展開した東西の交流を紹介するものです。
ミュシャは、ジャポニスムに湧くパリで、女優サラ・ベルナールを描いたポスターで一世を風靡し、アール・ヌーヴォーを代表する画家となりました。その評判は日本にも伝えられ、藤島武二など文芸美術誌『明星』や洋画団体「白馬会」周辺の画家たちに影響を与えました。
一方プラハに生まれ、ミュンヘンで絵を学んだオルリクは、プラハを拠点にベルリンやウィーンでジャポニスムの潮流にふれて日本への憧れを募らせ、1900年から翌年にかけて来日しました。浮世絵版画の彫りや摺りを学び、自ら多色摺の木版画を制作したほか、滞日中にオルリクが制作した石版画は、画家による版画への取り組みという新しい意識を一部の日本人に呼び起こし、日本の創作版画が誕生する機縁となりました。帰国後は自作や日本で得た資料をプラハやウィーン、ベルリン等で展示し、それぞれの地の芸術家に影響を与え、カール・ティーマンやヴァルター・クレムといった作家を木版画制作に駆り立てました。
こうした1900年前後のヨーロッパと日本の影響関係は、グラフィックを介したジャポニスムとその還流と捉えることができます。グラフィックならではの、即時的で双方向な「めぐるジャポニスム」の様相をお楽しみください。
特別展 2020 日・チェコ交流100周年
ミュシャと日本、日本とオルリク
2019.11.02~2019.12.15
開催終了
9:30〜17:00(入場は16:30まで)
月曜日
一般1000(800)円、大学生800(640)円 ( )内は20名以上の団体料金
*高校生以下、65歳以上、障害者の方、県内に在学中の外国人留学生は無料
和歌山県立近代美術館
〒640-8137
和歌山市吹上1-4-14
073-436-8690
JR和歌山駅または南海電鉄和歌山市駅から約10分
和歌浦口方面行き「県庁前」下車、徒歩2分
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和歌山県立近代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会