展覧会レポート
2020.7.9
鎌倉時代から現代までの着物が集結!
トーハクで大規模きもの展が開催中
東京国立博物館にて、特別展「きもの KIMONO」が開催中です。
展示風景
きものは、華やかな美の世界を体現する日本独自の衣服です。
本展では、歴史上の著名人が着用したきものや、鮮やかなきものが描かれてる絵画、現代アーティストによるきものなど、約300件の作品を紹介。かつてない規模のきもの展です!
第1章 モードの誕生
安土桃山時代から江戸時代にかけて、日本を訪れたスペインの貿易商アビラ=ヒロンは、自身の執筆した『日本王国記』に、日本人の衣服は「すばらしい布地にきれいに色どりして、金をちりばめ、美々しく刺繍をほどこした絹地でできている」と記しています。
展示風景より、小袖 紅萌黄片身替練緯地洲浜取草花模様(復元)丸紅株式会社蔵
豊臣秀吉が天下統一を果たした桃山時代には、豪華なデザインに紅や萌黄(もえぎ:黄色がかった緑色)をベースにした明るい色合いが流行し、身分の高い人も町を歩く庶民も鮮やかなきものを着ていました。
その後、徳川家康が権力をにぎると、茶や紫といったシックな色調やすっきりとしたデザインに様変わりします。
時代の変化とともに、きもののデザインが大きく変化する《流行》が誕生しました。
第2章 京モード 江戸モード
江戸時代には、ファーストレディや吉原の遊女など、さまざまな華やかな女性から流行が発信されます。江戸時代中期には、菱川派をはじめとする浮世絵師の描く美人画のファッションが、影響を与えるようになりました。
展示風景より、菱川師宣《見返り美人図》江戸時代 東京国立博物館蔵
菱川師宣は、「師宣の美女こそ江戸の女」と称賛され、人気を博した浮世絵師です。
本作《見返り美人図》の帯結びは、当時の人気歌舞伎役者がはじめた人気の結び方だったそう。
また、江戸幕府が庶民の贅沢を禁じたことから、ミニマルで洗練された「いき」の美学も生まれました。
第3章 男の美学
本章では、戦国武将の衣装や若衆の振袖、男性小物など、男性のおしゃれを幅広く紹介します。時代や身分によって違うさまざまな服装に注目です。
展示風景
こちらは火消半纏(ひけしばんてん)。当時、「江戸の華」と呼ばれた火事に立ち向かう火消(ひけし)たちが使用していたものです。
彼らは半纏の裏地に虎や雷神などの勇ましい絵を施しました。そして無事仕事を終えると、半纏の裏を表に返して、自慢げに街中を歩いたそうです。
第4章 モダニズムきもの
文明開化以降、男性は洋服を着るのが一般的になっていきましたが、女性は戦前まではきもの姿が一般的でした。
産業の発展により、絹の生産が機械化したことで、絹糸が大量生産されるようになりました。その結果、銘仙(めいせん)と呼ばれる流行模様に染めた華やかなきものが庶民のあいだで人気になりました。
展示風景
それまでおしゃれを楽しむことのなかった庶民の女性に衝撃を与えた銘仙。本展でたっぷり観られます!
第5章 KIMONOの現在
現代を生きる人々にとって、きものは「日本の伝統衣装」というイメージが強いのではないでしょうか。
戦後、普段着として着られることが少なくなったきものですが、個性的で芸術的な現代ならではの「きもの」を紹介します。
展示風景より、久保田一竹《連作 光響》(部分)国際ショディエフ財団蔵
こちらは久保田一竹(くぼた いっちく)の作品。
風景模様に染めたきものの連作で空間表現をしたインスタレーションは、久保田一竹独自の表現です。
「きもの」の原型である小袖(こそで)から現代アーティストによるきものまで、圧巻の展示数の本展。
事前予約制なので、お見逃しなく!
展示風景より、《TARO きもの・帯》岡本太郎原案 岡本太郎記念館蔵
Information
展覧会名:特別展「きもの KIMONO」
会場:東京国立博物館 平成館
会期:2020.06.30〜2020.08.23
公式サイト:https://kimonoten2020.exhibit.jp/
※混雑緩和のため、本展では事前予約制(日時指定券)を導入します。詳細は「入場方法・チケット購入ページ」をご確認ください。
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〆切は7月29日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
火消半纏、いいなあ。
全然見せ足りないので、ぜひ足を運んでほしいです!