Be-dan
2020.9.7
この夏、品川に「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」(以下、歴史館)が、オープンしました!
クロネコマークでお馴染みのヤマトグループのミュージアム、一体どんな展示があるのでしょうか?
『ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム』模型(展示室より)
今回のBe-danでは、館長の白鳥美紀さんにインタビュー!
広報を長年担当しており、ヤマトグループの歴史についてとっても詳しい白鳥館長。全4回で、社史のことやミュージアムについて、たっぷり聞いてみました。
ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム館長 白鳥美紀さん ※撮影のため、マスクを一時的に外してもらいました。
第1回では、白鳥館長とアテンダントの下平さんに、展示の見所をお聞きします!
アテンダントの下平さん。展示について詳しくお話いただきました!
―創業時代のエリアでは、ドライバーさんの制服が目を引きますね。
白鳥:これは創業当時の制服です。当時トラック業界では類のない、スマートで最先端のものだったと言われています。創業者の小倉康臣(おぐら やすおみ)の、「ドライバーの応対や服装は会社の信頼を左右する」という考えからデザインされたそうです。
下平:小倉は常に時代を先取りしていました。創立総会のときの写真を見ると、まだ和服が一般的な時代に1人だけフロックコートで出席しているんですよ。
白鳥:また、「日本で初めて」とか「今まで誰もやったことがないこと」など、パイオニア精神を持っていました。その熱意は、100年後を生きている私たち社員も受け継いでいますし、これからも継続していきたいと考えています。
ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム 展示室
―こちらの「桜の花にYマーク」は、見慣れないマークですが・・・。創業当時の社章でしょうか?
白鳥:実はこちらが本来の社章なんです。おなじみのクロネコ親子のマークは、アメリカの運送会社が使用していたマークを、小倉がアメリカ視察の際に気に入り、「ぜひ使わせてほしい!」とお願いしたところ後日、快諾の手紙をいただき、それ以来使用するようになりました。
創業期に使用されていたフォード社製T型1トン車 模型
ヤマトのクロネコマークは当時の社員がデザインしたもので、娘さんがスケッチブックに描いた絵をヒントにしています。そちらのエピソードについても館内で紹介していますよ。
―こちらがおなじみのマークの元になった絵ですね!ニュースで見たことがあります。
白鳥:私も昔からこの絵の存在は知っていましたが、現物は数年前にたまたま社内の倉庫にあったファイルの中に入っていたのを見つけたんです。
長い間、表面の絵(写真:右)を元にネコマークが作られたとされていましたが、現物をひっくり返してみると、裏面(写真:左)にも絵があったんです。こちらのネコの口元には子ネコが描いてあるんです。
下平:表の絵も裏の絵も見ていただきたいので、展示しているのはそれぞれのレプリカです。
―宅急便のサービスも、最初からあったわけではないんですね。
白鳥:1960年代の高度経済成長期、長距離輸送に乗り出すトラック運送会社が増えたのに、ヤマト運輸は少し出遅れてしまったんです。この経営の危機から脱出するため、二代目社長の小倉昌男が考えたのが、個人間の荷物を運ぶ「宅急便」でした。
自分が個人の荷物を送るときに不便を感じていたので、もっと便利にしたら喜ばれると思ったのがきっかけです。
―ピンチの時代があったなんて意外です。
ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム 展示室
白鳥:その時期を紹介する展示空間は、時代からとりこぼされていく会社をイメージしたものです。ここが一番、展示を作る際に苦労した部分ですね。
日本全体としては明るい時代ですし、当時の写真でも社員はいい笑顔で写っているので、あまり暗くしすぎないようにと調整を重ねました。
下平:その後の展示空間にも工夫があります。小倉昌男が宅急便を立ち上げようとしたとき、社内は大反対でした。それを紹介する展示では、「反対の声」の文字が迫ってくるように見せています。
また、宅配便リリース初日を紹介する展示では、その日の荷物の数にちなみ、11個の段ボールをイメージしています。
(左)「反対の声」が迫ってくるように工夫された展示/(右)11個の段ボールをイメージした展示
―宅急便が今の時代に欠かせない存在になっていることを思うと、びっくりします。
白鳥:おかげさまで今、宅配便の取扱店はコンビニエンスストアを含めて全国約19万店となりましたし、お客様に合わせた受け取り方法も増えました。
館内には、宅配便が始まった1976年から今でも取扱店をしているお店から譲り受けた看板も展示しています。
下平:ピンクの背景に白いネコマークの看板はとても古いもので、今は貴重な存在です。
―ネコと言えば、館内のあちこちにネコのイラストがありますね。
下平:実はこの館内にはあちらこちらにネコのイラストが登場します。ぜひ何匹いるか探してみてください!
全て紹介しきれないほど、歴史館の展示にはたくさんのエピソードがありました。
次回は、白鳥館長に歴史館がオープンするまでのお話を詳しくお聞きしていきます!お楽しみに♪
(第2回につづく)
information
館名:ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム
住所:〒108-0075 東京都港区港南2丁目13-26 ヤマト港南ビル6F
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌営業日は休館日)・年末年始・お盆
料金:無料(予約なしの自由見学)
※10名以上の団体は、電話にて予約が必要
公式サイト:https://www.yamato-hd.co.jp/museum/
※感染症対策が実施されています。来館前に必ず歴史館公式サイトをご確認ください。
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Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。