Be-dan
2020.10.5
国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市/以下、歴博)で、2020年10月6日から12月6日まで企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」が開催されます。
今月のBe-danでは、本展覧会を担当された横山百合子教授にインタビュー!
「性の違い」という視点から見た歴史の面白さを全4回にわたって、たっぷりお聞きしていきます。
横山百合子教授
第1回では、横山先生が所属されている歴博はどんな博物館なのか、また企画展示についても詳しく教えていただきます!
―まず、歴博はどのような博物館なのか教えてください。
歴博は、歴史学や考古学、民俗学の調査研究と、資料の収集保存、展示を通して日本の歴史と文化への理解を促進することを目的に、昭和56年に設置された研究機関です。
本館は日本の歴史と文化について総合的に研究・展示をする歴史民俗博物館です。展示室は全部で6つあり、それぞれ「先史・古代」、「中世」、「近世」、「民俗」、「近代」、「現代」と、テーマごとに分けて紹介しています。
特に第1展示室「先史・古代」は、1983年の開館以来はじめて展示を大きく見直して、2019年3月19日にリニューアルオープンしたばかりで、注目を集めています。
―館全体が歴史の教科書とは少し違うようで、おもしろいですね! でも、有名な武将や政治家などの展示は、あまり見当たりませんね?
歴博では、教科書で見るような有名な人物の展示というより、普通の人たちの暮らしの歴史を紹介しています。
収蔵品も国宝や重要文化財だけでなく、暮らしの道具や庶民が書いた文字資料など、約27万点収蔵しています。
―体験型展示なども多く、お子さんでも楽しめそうな展示が多いですね。
展示は、皆さんに五感で楽しんでもらえるように工夫しています。
例えば、イワシやニシンを粉にした江戸時代の肥料のにおいを嗅ぐコーナーがあります。こちらは、江戸時代の肥料で、食生活や衣料生産を飛躍的に向上させたものです。
少し生臭いですが嫌な臭いではないので、体験してみると面白いと思います。
そのほかにも「寺子屋れきはく」というコーナーがあります。歴博がある佐倉市のボランティアさん協力のもと、江戸時代の学校である寺子屋を体験できるんです(2020年10月5日現在は休止中)。
―幅広い層の方が楽しめる展示ですね!
今回、横山先生が担当された企画展示「性差の日本史」は、どのような展覧会でしょうか?
私が企画担当をした『企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」』では、性の違いによって、人々がどう生きてきたか、悩みや苦しみにどう向き合ってきたのかを、ジェンダーの視点から振り返ります。
その中で、今の思い込みや常識とは違う点を、展示を通してたくさん見つけていただければと思います。
重要文化財 高橋由一画「美人(花魁)」油彩 1872(明治5)年 東京藝術大学蔵
「男だから、女だからこうあるべきだ」という考え方が、今の私たちの足かせになったり、社会の発展にブレーキをかけてしまう恐れがあると言われています。
そこでジェンダーの歴史を振り返ってみると、今、私たちが「これがふつう」と思っている、あるいは思わされている生き方が、時代によって全く違うことがわかります。
この展示を通して、これからの社会に良いヒントを得ていただければと考えています。
いかがでしたか? 約27万点もの史料を所蔵しているとは知りませんでした!五感で楽しめるコーナーも楽しそうですね。
第2回では、横山先生に企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」の見どころを、教えていただきます!
次回のBe-danもお楽しみに♪
(第2回へ続く)
information
展覧会名:企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
会期:2020.10.06〜12.06
開館時間:9:30~16:30(入館は閉館の30分前まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。詳しくは公式サイトをご覧ください。
休館日:月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)
料金:一般 1,000円、大学生 500円、高校生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/12990/
公式サイト:https://www.rekihaku.ac.jp
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Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。