展覧会レポート
2020.11.18
感情はデザインできるか?
石岡瑛子の大規模個展 開催中
東京都現代美術館にて「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が開催中です。
シルク・ドゥ・ソレイユ:ヴァレカイ 展示風景
石岡瑛子(1938-2012)は、アートディレクター、デザイナーです。
グラフィックデザインや衣装、舞台・映画芸術など、幅広い分野で国際的に活躍しました。
本展は、石岡の仕事を一堂に観ることのできる、世界初の大規模な回顧展です。
彼女が生涯をかけて磨いた「石岡瑛子の方法」とは? 数々の仕事を通して、じっくり鑑賞していきましょう。
TIMELESS:時代をデザインする
本章では、デザインを通じて人々に新しい価値観や生き方を提示しながらも、自らのアイデンティティを模索した、石岡の日本での仕事を紹介します。
石岡は資生堂の入社面接で「男性と同じ仕事と待遇を」と主張し、男性ばかりだった宣伝部に、グラフィックデザイナーとして入社します。
1960年代初頭は、社会のなかでデザインの重要性が大きく注目された変革期でした。
展示風景
資生堂の広告ではそれまでのイメージを打ち破る自律的な女性像を提示し、ポスターがまるごと盗まれるなど、社会現象を社会に巻き起こしました。
独立したのちに手掛けたパルコでの仕事は、1970年の広告史で非常に大きな意味をもっています。
展示風景
団塊世代の女性をターゲットに、「パルコとは何か?」という企業とクライアントとともに作り上げていく石岡流のアートディレクションは、消費者に大きな反響を呼びました。
FEARLESS:出会いをデザインする
第2章では、未知の分野に恐れることなく挑戦し、各分野の表現者たちとのコラボレーションにより自らの表現を磨いていった時期の仕事を紹介します。
1980年、石岡は「全てをゼロに戻したい」と、ニューヨークに拠点を移します。
アメリカでゆっくり過ごす中で、次のステップに進むことを決め、日本でのこれまでの仕事をまとめた『石岡瑛子風姿花伝 EIKO by EIKO』を出版します。
『石岡瑛子風姿花伝 EIKO by EIKO』
石岡は本書を名刺がわりに、それまで活動していた広告分野から、舞台や映画、ブロードウェイやハリウッドというエンターテインメントの分野へと移っていきます。
映画監督フランシス・フォード・コッポラに、「ドラキュラ」の生涯を描く新作の衣裳デザインを依頼された石岡は、この未知の仕事を引き受けます。
展示風景
固定観念を嫌う石岡は、“きばに黒マント”のドラキュラのイメージは使わず、誰も見たことのないドラキュラのキャラクターを、衣裳を通して表現しました。
さまざまなイメージを想起させるこれらの衣裳は、アカデミー賞に輝きました。
BORDERLESS:未知をデザインする
第3章では、石岡の円熟期の仕事を紹介します。
アカデミー賞を受賞後、多数のオファーが殺到し、オペラ、ポップミュージック、サーカス、オリンピックなど、それぞれ異なる分野で精力的に活動しました。
2001年、日本のスポーツウェアブランド「デサント」が、ソルトレイクシティオリンピックのために提供するウェアが石岡に依頼されます。
展示風景
肉体の限界に挑戦することで生まれる未知の力をコンセプトとしつつ、デサントの開発チームとともに、最先端技術とデザインの融合に取り組みました。
石岡は70歳を超えても多彩な仕事を披露していますが、インド出身の映像作家、ターセム・シンとの出会いが、彼女が亡くなる直前まで表現し続けるきっかけとなります。
展示風景
2012年に公開された映画『白雪姫と鏡の女王』は、グリム兄弟の原作に立ち戻りつつ、自分で道を切り開く女性の物語として人気を誇っています。
まま母に奪われた王国を取り返すため奔走する白雪姫。純粋な少女が自立していく様子が、石岡の衣裳によって表現されます。
2012年に亡くなる直前まで、表現の最前線を走り抜けた石岡瑛子について紐解く本展。
ご来館前に予約優先チケットの購入もできます。詳しくは公式サイトをご確認ください。
展示会場入口
Information
石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか
会場:東京都現代美術館
会期:2020.11.14〜2021.02.14
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/
※各時間に定員を設けた予約優先チケットもあります。詳しくはコチラ
OBIKAKE gifts
本展の招待券(平日のみ使用可能)を5組10名様にプレゼント!
〆切は12月15日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
仕事の幅広さに、驚きます。この冬オススメ♪