展覧会レポート

没後 220 年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―

2021.2.9

若冲をはじめとする鬼才絵師の作品が集結!

江戸時代の多彩な絵画を楽しむ展覧会

 

岡田美術館にて「没後 220 年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―」が開催中です。

 

岡田美術館「没後 220 年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―」/展覧会レポート感想

 

江戸絵画を代表する絵師である、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう・1716~1800)。

裕福な商家の長男として生まれながら、富や名声に関心がなく、ただひたすら‟絵を描くこと”に、全身全霊をつくしました。まさに「画遊人」として、当時としては珍しい85歳という長寿を全うしたのです。

 

本展は、2020年に若冲の没後220年を迎えたことを記念し、岡田美術館が収蔵する若冲作品全7件を一堂に展示。

また、若冲が学んだ狩野派や尾形光琳、同時代を生きた絵師たちもあわせて紹介します。

※作品はすべて岡田美術館所蔵

 

序章 京の金屏風

 

展示室は、金屏風の部屋からスタートします。

若冲が生まれた江戸時代の京都は、海外からの新しい情報などから芸術や文化が成熟、洗練されていました。

 

進藤尚郁《四季花鳥図屛風》江戸時代 元文2年(1797)

 

《四季花鳥図屛風》は、ツルやオシドリ、シラサギなどの日本の美しい鳥と、季節の花を組み合わせた遊び心ある作品です。

 

戦乱の世が終わり、平和が続いた江戸時代。

桃山時代の勢いのある豪華さとは異なる、優雅であかぬけた美が好まれるようになりました。

 

 

第1章 光琳と乾山

 

尾形光琳は、若冲が生まれた1716年に亡くなりました。絵手本や図案集などにも載る人気絵師・光琳を、若冲も知っていたことでしょう。

若冲の作品には光琳風と言える作品がいくつかあり、伝記にも「光琳の筆意を用いた」という一節があるほど。

 

尾形光琳《菊図屛風》18世紀初頭

 

《菊図屛風》は、白菊がゆったりただよっているような、大きな空間の感じられる作品です。

長寿を象徴する菊、そして中央の州浜形という横長の白い形もおめでたいモチーフなので、お祝いの席を飾ったものだと思われています。

また、よ~く観ると菊の花がもりあがっています。こちらは貝殻を焼いて粉にした胡粉(ごふん)という絵の具を使った技法です。

裕福な家に生まれた光琳は、このようなセンスの良い絵を沢山残しました。

 

また、光琳の弟・乾山(けんざん)の作品もあわせて展示されます。

尾形兄弟のぜいたくな競演をお見逃しなく。

 

 

第2章 若冲の世界

 

現代でも人気を誇る若冲。その魅力は、鮮やかな色づかいや細かい描き込み、モチーフの生き生きとした描写、そしてユニークな構図などがあげられます。

本展では、そんな若冲の作品を年代ごとに紹介。若冲の生涯を辿りながら鑑賞することができます。

 

伊藤若冲《孔雀鳳凰図》宝暦5年(1755)頃 重要美術品

 

《孔雀鳳凰図》は、長い間行方不明になっていましたが、2016年、約80年ぶりに発見され、岡田美術館が収蔵することになりました。

「桐に鳳凰」「牡丹に孔雀」という、花鳥画お決まりの画題をモチーフとしています。

本作が描かれたのは商売を弟に継いだ40歳頃。これ以降、若冲は名絵師としての道をどんどん進むようになりました。

 

また、墨一色で多様なイメージを描く水墨画も展示されています。

 

伊藤若冲《三十六歌仙図屛風》宝暦8年(1796)

 

《三十六歌仙図屛風》は、飛鳥時代~平安時代の美しい歌を集めた『三十六人撰』の名歌人を描いたもので、若冲が81歳のときに描かれました。同館が所蔵する若冲の作品の中では、最晩年にあたります。

歌人たちは、おはぎをつくっていたり、口に筆をくわえて文字を書いていたり(!)と、楽しい仕掛けがいっぱいで、観ていて飽きません。

当時の風俗や謎解きのような要素だけでなく、衣装や小道具などの細部の描写にも注目してみてください。

 

 

第3章 若冲と同時代の5人の絵師

 

若冲が53歳のとき、『平安人物志』という京都の人名録が出版され、‟画家の部”の上から3番目に名前が掲載されました。

そのとき、若冲の上にいたのが、円山応挙(まるやまおうきょ)です。

 

円山応挙・源琦《三美人図》天明3年(1783)

 

《三美人図》は、京都の遊郭で最も位の高い遊女を描いた応挙の絵を中心に、応挙の弟子・源琦(げんき)が右と左の女性を描いた、合作です。

応挙は、実物を観察して描く「写生」を重要視しており、顔や着物がとても丁寧に描かれています。

 

さらに、若冲のあとに人名録に載った池大雅と与謝蕪村、応挙の弟子だった長沢蘆雪(ながさわろせつ)、奇才として知られる曾我蕭白(そがしょうはく)など、京都を盛り上げた画家たちの作品もたっぷり紹介しています。

 

 

岡田美術館が収蔵する若冲作品がそろって展示されるのはじつに4年ぶりとなります。また、全7件が同じ展示室に並ぶのは初めてのことだそう!

若冲が学んだ狩野派や尾形光琳、同時代の天才絵師たちなど、江戸時代の多彩な絵画をお楽しみください。

 

展示風景

 

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展覧会名

没後 220 年 画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―

会期

2020.10.04~2021.03.28 開催終了

会場

岡田美術館

「伊藤若冲さん」入館料特別割引キャンペーン実施中!

◆「伊藤さん」→1,000円引!

◆「若冲さん」→半額!!

◆「伊藤若冲さん」→無料!!!

実施期間:2020年10月4日(日) ~ 2021年3月28日(日)

※現在の本名の漢字が一致する方で、ご本人様に限ります。

※受付にてご本人様の姓名のわかるもの(免許証・保険証等)をご提示ください。

※他の割引との併用はできません。

 

※新型コロナウイルス感染症対策はコチラ

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Editor  三輪 穂乃香

【編集後記】

全作品にお子さま向けのキャプションもついてます!わかりやすいので、大人の方にもおすすめ!!

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