Be-dan
2019.9.2
「ギャラリーって、気軽に入れるものじゃないけど、気になる」と思っている方、実はギャラリーは、気軽にそしてカジュアルに楽しめる場所です。
そう教えてくれたのは、飲み屋や老舗の飲食店がひしめき合う自由が丘駅北口から約1分のところに建つギャラリー「Diginner Gallery Workshop(ディギナー ギャラリー ワークショップ)」のオーナー、鈴木宏信さん。
ギャラリーについて素朴な疑問や、鑑賞の楽しさやちょっとしたコツ、ギャラリー運営のやりがいなどお聞きしてきました!
―「Diginner Gallery Workshop」について、詳しく教えていただけますか?
開館は2010年からで、現代作家を中心に紹介するギャラリーです。ギャラリー名の「Diginner(ディギナー)」は、「掘る」を意味する「Dig」と、「内面」を意味する「Inner」を足し合わせた造語です。
アーティストは、心の内側にある抽象的なものを表現するじゃないですか。そういったものを掘り出すのは、ここに来場した鑑賞者が担っているので、このハコと一緒に表現したものを見て体感する人たちが、「何かを掘り出して帰っていく」というイメージで名付けました。
―なるほど。展示室内を見て思ったのですが、何か内側を刺激されるような作りですね。作品展示のスタイルやコンセプトについて教えていただけますか?
主に僕が直感でいいと感じたアーティストと、これから活躍が見込めそうな国内外の若手アーティストを中心に、年10~15回程度の企画展示を行っています。展示を重ねながら、彼らと一緒に成長していくギャラリーを目指しています。
2Fまで吹き抜けのスペースが広がる「Diginner」のギャラリー内空間。縦に広がる展示空間を目一杯活用し、工夫を凝らした展示も毎回の見どころの一つです。
―8月25日まで開催されていたアンナ・キャリーの写真展「In Search of Rainbows」の作品も、直感的で美しくていいですね。こちらはよく見ると、ミニチュアとお聞きしましたが。
そうなんです。一見すると単なる廃墟の写真に見えますが、実景の写真ではなく、野外で自作の「模型」を撮影した作品です。
ネット上でたまたま彼女の作品を見た時、僕の心にひっかかったんです。廃墟って最近だと、写真集も出るほどフォトジェニックなイメージになりましたが、その反面、僕の中では殺伐としたイメージが先行しがちで。でも、アンナの作品は自身が作った模型と、温かみのある風景を合わせることで、廃墟の中にある殺伐、あるいは恐怖などの感情を払拭させ、幻想的な空間にする工夫がされています。
人工的な「虚」の空間と、野外の実景を合わせて撮影することで、人間の「記憶」の中で「編集された」視覚体験を再現できると考えついたと本人から聞いて、これは面白いなと! ぜひ、うちで展示したいと思いました。
―現代アートって難しいイメージがありますが、「Diginner」では直感的にわかりやすい作品を紹介することが多いのでしょうか?
そうですね。「Diginner」で発表するアーティストは、ピュアに「ただ描きたいから描いた!」というような、子供の時の純粋な気持ちを保った作品が多いです。だから、「直感的」な作品が多いと思います。
―敷居が高いイメージがあるギャラリーですが、今回お話を聞いて、フランクに楽しめる空間だと感じました!
「Diginner」は、「居酒屋のような」飾らない雰囲気でやっていますので、来廊いつでも大歓迎ですよ。難しいことは考えずに、自由にそしてリラックスして作品に向き合ってみてください!(第2回に続く)
information
Digunner Gallery Workshop
カザマナオミ個展 ハミダシタシュー
2019.09.06〜2019.09.16
展覧会詳細:https://obikake.com/exhibition/750-2/
公式サイト:http://diginner.com
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。楽しくやっています。