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山種美術館の人気の秘密とは?(3/4)

2019.11.18

東京・広尾にある近代・現代日本画の名品が集まる山種美術館。第2回では、館長の山﨑妙子さんに、館長になるまでのキャリアなどを詳しくお聞きしました。

第3回では、同館の人気の秘密に迫ります!

(第2回はコチラ

 

館長・山﨑妙子さん

 

―山﨑館長が着任されてから、今まで以上にお客さんが増えたと思います。とくに今年は、アニメ/ゲーム「明治東亰恋伽(めいじとうきょうれんか・通称めいこい)※以下「めいこい」とのコラボレーションもありましたよね!

 

アニメ/ゲームとのコラボレーションは、当館始まって以来、初の試みで、今年の春から秋にかけて2回行いました。明治時代を舞台にした、日本の文豪や画家たちとの恋愛シミュレーションゲームなのですが、恋愛対象となる登場人物のキャラクターの中に、当館でも多数作品を所蔵している横山大観と菱田春草が出てくるんです。コラボ企画を知ったたくさんの「めいこい」ファンにご来館いただけるようになりました!

 

―どういったコラボ内容を展開されているんですか?

 

山種美術館ならではのプレミアム感を出したい・・・ということで、各キャラクターの背景に、企画展の出品作の中から当館所蔵の作品を使ったコースターや缶バッジを作りました。背景の作品とキャラクターのイメージがぴったりだったようで、ファンの方の中でもとても評判が良いみたいです。

 

―実際の作品画像をグッズのデザインに取り入れるとは、斬新ですね。

 

グッズを手元に置いておくだけで、自然と日本画に親しんでいただけるので、そういう観点からもよかったです。これまで全く日本画というものを知らなかった若い世代の人たちも、「めいこい」を通じて日本画に興味を持って来館してくれるようになりました。SNSで、「作品が凄く良かったので、また次の展覧会も来よう」と好意的に話題にしていただいているのは、本当に嬉しいです。

 

現在は終了しましたが、当館の「cafe 椿」でのコラボセットも好評でした。

 

めいこいコラボコースター ©MAGES./LOVE&ART(※現在は配布終了)

 

―「cafe 椿」はいつも大人気ですよね!

 

和菓子は青山の老舗菓匠・菊家さんのもので、味にとてもこだわっています。甘すぎずやさしい味わいなので、是非お気軽にお越しいただければと思います。

 

―新しい山種ファンを作るために、さまざまな試みをされているんですね!

 

他にも、春にはお花を描いた作品を集めた展覧会など、親しみやすいテーマの企画を立案したり、地域の学校と連携して小・中学生に本物に触れられる特別鑑賞会を実施したりしています。

“日常にアートを取り入れる”という観点から、あらゆるアイデアで美術を感じていただける空間づくりとサービスを心がけています。

 

今後もこのような取り組みをぜひ企画してみたいと思います。楽しみにしていてくださいね!

 

カフェ「椿」

 

インタビュー当日も、母娘や友人同士など、館内に若い女性の姿が目立っていたのが印象的でした。館長が率先する普及活動を通して、日本画に興味を持ってくれる人が確実に増えてきているようですね。

 

さて、最終回では、OBIKAKE読者のために山﨑館長が日本画の面白さや、美術鑑賞のコツについてアドバイスをしてくれます!

第4回につづく)

 

information

【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】

東山魁夷の青・奥田元宋の赤―色で読み解く日本画―

会場:山種美術館

会期:2019.11.02〜12.22

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/272-2/

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive

 

 

Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。

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