Be-dan
2019.12.16
立教大学文学部教授の加藤磨珠枝(かとう ますえ)先生。「中世キリスト教美術」を研究されています。
第3回では、知っているようであまり知られていない、大学教授のお仕事について詳しくお聞きします!
(第2回はコチラ)
―加藤先生は立教大学で教授をされていらっしゃいますが、どういった内容を教えていますか?
今受け持っている担当は、キリスト教美術です。学年や学科によって変わりますが、1~2年生向けに文献の読み方やレポートの書き方を教える少人数制の必修科目や、他学部の学生にも開放されている全学共通科目、それから文学部の中のもう少し専門的な特別講義、ゼミに大学院生の指導などもあります。
―とてもお忙しいですね!
半期で4コマから5コマくらいです。これにいろんな会議が盛り込まれてきますので、ちゃんと自分の研究に取り組む時間も意識的に確保しないと、あっという間に時間だけが過ぎていきます。
―大学教授のお仕事をされる上で、苦労された点などはありますか?
今でもそうですが、学生と楽しみながら一緒に学ぶ機会を得ることと、ひとりでじっくり研究を深める時間の確保かな?あとは美味しいお酒も飲みたいし(笑)。
それに、私には高校生の息子がいるのですが、小学生高学年くらいになるまでは家族との団らんも大切で、10年くらい海外に行けなかったのはつらかったです。やはり仕事柄、黙々と本を読んでいるだけでは研究は進まないですから。
現地に行って新しい発見を見聞きしたり、研究者達と交流したりして、自分の中で空気の入れ替えをしないとモチベーションも上がらないですね。
―そうなのですね! では研究生活についても教えていただけますか?
ちょうど2019年から「ユダヤ教美術の始まりについて」という新しい研究テーマを始めたところなんです。それ以外にも、他大学の先生と一緒に行う共同研究にも取り組んでいます。
―美術史の先生は、ご自身の研究だけでなく語学の知識も相当必要だとお聞きしました。先生もかなり勉強されたのですか?
英語だけでは全然足りないですね。博士論文を書くのならフランス語、イタリア語、ドイツ語を読めた方が良いです。西洋中世の史料はラテン語も多く、全てが翻訳されているわけではないので、研究者になるなら語学力はマストだと思います。
加藤先生の部屋の本棚。色んな言語で書かれた本がいっぱい!
―みなさん何ヶ国語も覚えたりと大変なんですね!
でもそれは博士後期課程まで行くのならという前提です! 修士までならそこまでは不要ですし、それこそ楽しむ分には日本語だけでOKですのでご安心を。
最近は日本語でもいろいろな分野の良書が出版されて気軽に学べるようになってきていますよ。美術史は人生を豊かにします!
いかがでしたか? 次回はいよいよ最終回。加藤先生ならではの美術鑑賞法や、おすすめスポットなどをお聞きします。お楽しみに!
(第4回につづく)
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。