展覧会レポート

〈没後10年〉瀬川康男 坦雲亭日乗―絵と物語の間(あわい)

2020.4.7

坦雲亭のアトリエも再現!

最後の完成作であった「月にとぶ」「夢にとぶ」「緋にとぶ」の連作も展示

 

ちひろ美術館・東京 で「〈没後10年〉瀬川康男 坦雲亭日乗―絵と物語の間(あわい)」が開催中です。

 

坦雲亭 アトリエ(再現)

 

瀬川康男(せがわ やすお/1932-2010)は、1960年代に「ふしぎなたけのこ」や「いないいないばあ」など、数多くの絵本を発表し、注目を集めた画家です。

 

本展では、日記「坦雲亭日乗(たんうんていにちじょう)」やノートにつづった画家のことばを手がかりに、絵本原画やタブロー、スケッチなどの作品を約80点展示。「絵をつかまえて生きようと思った」と語った、瀬川康男の画家としての人生に迫ります。

 

日記「坦雲亭日乗」とは?

 

日記「坦雲亭日乗」

 

瀬川は1982年に、瀬川は長野県の青木村に居を移し、その古くて大きな家を「坦雲亭(たんうんてい)」と名付けました。1983年から2010年で、入院中をのぞき、この「坦雲亭日乗(たんうんてい にちじょう)」と題した日記を欠かさず書き続けました。

 

現在、1977年以降の102冊の日記やノートには、日々のできごとや心に浮かんだ絵に関する思い出など、坦雲亭での時間が記録されています。

 

本展では、坦雲亭日乗に残されていたことばも、作品と一緒に紹介されています!

 

『絵巻平家物語(四)文覚』 文・木下順二 ほるぷ出版 1985年 個人蔵

 

 

制作に9年!壮大な「絵巻平家物語」

 

鎌倉時代の軍記物語である「平家物語」。瀬川は、1983年から1990年まで、平家物語に登場する人物の人生を、全9話で描く絵本シリーズ「絵巻平家物語」の制作に取りかかりました。

 

展示室2 『絵巻平家物語』 展示風景

 

膨大な資料と取材をもとに生み出された本作。「絵のためにくるしむことはみな苦しんだ、という気がする」と語る、瀬川の超大作です!

 

すべての人物の動きや表情はもちろん、背景に細かく描かれた幾何学模様にも、ぜひ注目してみてください!

 

連作「月にとぶ」「夢にとぶ」「緋にとぶ」がそろう!

 

(左から)「月にとぶ」2005年 個人蔵/「夢にとぶ」2005年 個人蔵/「緋にとぶ」2005年 個人蔵

 

大きなタブロー(*)としては、最後の完成作である、”ふくろう”の連作3点が並びます!

 

*タブロー:壁画や彫刻に対して、カンバスや板に描かれて額縁に納められた絵のこと。

 

いずれも、ふくろうとともに描かれた、画面全体を埋め尽くす文様や線の装飾。こちらは、いのちの根源である形を、波動のもようで描き出したとのこと。間近で見るとその迫力がよくわかります!

 

「絵からものがたりが生まれる ものがたりから絵が生まれる そのあわいのところで おれは生きていたい」と語った瀬川。絵に向けた思いと、その表現が堪能できる展覧会です。

 

 

また展示室3・4では、「いわさきちひろ 子どものしあわせ―12年の軌跡」が同時開催中!

 

展示室4 展示風景

 

こちらでは、ちひろが描いた雑誌「子どものしあわせ」の表紙絵の初期作品から、絶筆「あかちゃん」までの12年の軌跡を、原画やピエゾググラフ作品、当時の雑誌の資料で紹介されています。

 

いわさきちひろ 「あかちゃん」(絶筆) 1974年 雑誌「子どものしあわせ」1974年8月号

 

絶筆「あかちゃん」は原画で展示。貴重な機会なので、こちらもあわせて、お楽しみください♪

 

 

information

 

会場名:ちひろ美術館・東京

展覧会名:〈没後10年〉瀬川康男 坦雲亭日乗―絵と物語の間(あわい)

会期:2020.06.20~10.11

※会期変更となりました。詳しくは公式サイトをご確認ください。

開館時間:10:00~17:00(最終入館16:30)

料金:大人 1,000円、高校生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/8743/

公式サイト:https://chihiro.jp/

 

★その他の展覧会レポートはコチラ

Editor  静居 絵里菜

【編集後記】9年を費やして描かれた『絵巻平家物語』の迫力に圧倒されました!

この記事をシェアする
一覧に戻る
TOP