Be-dan
2020.9.14
今月のBe-danは、「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」(以下、歴史館)の館長・白鳥美紀さんにインタビュー!
この夏オープンしたばかりのクロネコヤマトミュージアム。
第1回では、白鳥館長とアテンダントの下平さんから、展示の見どころについて教えていただきました。
続く第2回では、白鳥館長に歴史館がオープンするまでのお話をたっぷりお聞きします!
ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム館長 白鳥美紀さん ※撮影のため、マスクを一時的に外してもらいました。
―こちらのミュージアムは、なぜ「歴史館」というお名前なのですか?
ヤマトグループは、1919年に東京の銀座で創業し、2019年に100周年を迎えました。この歴史館は、100周記念年事業のひとつとして開設されたんです。
お客様と歩んできたヤマトグループの歴史を紹介しているので、「歴史館」としました。会社の歴史を物語るものを展示しています。
―「100周年記念事業でミュージアムを作ろう!」となったときのことをお聞かせください。
私は2012年から、100周年記念事業の担当になりました。まず最初にしたことは、100周年にどんなことをするのか、事業の全体構想を考えることでした。
その中の事業案のひとつが「史料館設立」です。「企業アーカイヴ」の活用の場として歴史館を作るという計画でした。
―100年も歴史があると、集める史料もすごい数になったのでは?
歴史館がオープンした現在も、アーカイヴ事業は続いています。史料が多く、整理に時間がかかっていますが、簡単に検索・閲覧が可能なアーカイブシステムを構築したことで、土台は作れたと思います。
展示物の中には、社史などの取材をきっかけに、元社員の方から譲っていただいたものもあります。当時の社員が使っていた物はとても貴重ですので、私たちがしっかり残していくことは大切だと考えています。
―残していくのって、難しいですよね。
他の人が捨てようとしたものに「待った!」をかけることもありました。データ化したものもありますが、将来、実物も必要になるかもしれないので。
史料を集めっぱなしにせず、きちんと活用して、将来に残していく……それが私の使命だと思っています。
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―歴史館設立にあたって、いろいろな博物館や美術館を回られましたか?
だいたい60館くらい回りました。印象に残っているのは、神戸にある竹中大工道具館です。特にOB社員の再現コーナーで、当時の肉声を再現しているところは臨場感がありました。あとは、松下幸之助歴史館など、企業系ミュージアムはやはり勉強になりました。
さまざまなミュージアムを巡り、それを参考に私たちのチーム……大日本印刷さんと乃村工藝社さんとの3社一丸となって歴史館を作り上げました。
―オープン直前で新型コロナウイルス感染症が発生しましたが、影響はありましたか?
今年の4月オープンを目標にしていましたが、コロナ発生後は政府や東京都の動きをふまえて、開館を見合わせていました。
社員は原則在宅勤務となって、その間は開館するのに必要な対策や運営準備を進めていました。博物館協会のガイドラインや他施設の状況を参考にして、あらゆる感染症拡大防止策を講じたうえで、ようやくこの7月にオープンできました。
ミュージアムができるまでの裏話がお聞きでき、知らないことが多かったのでとても貴重な体験でした!
第3回では、白鳥館長の今までのお仕事についてお聞きしてきます。次回のBe-danもお楽しみに!
(第3回につづく)
information
館名:ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム
住所:〒108-0075 東京都港区港南2丁目13-26 ヤマト港南ビル6F
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌営業日は休館日)・年末年始・お盆
料金:無料(予約なしの自由見学)
※10名以上の団体は、電話にて予約が必要
公式サイト:https://www.yamato-hd.co.jp/museum/
※感染症対策が実施されています。来館前に必ず歴史館公式サイトをご確認ください。
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Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。