展覧会レポート
2021.1.28
国内外で活躍するアーティストの個展
東京オペラシティでエキサイティングな鑑賞体験を
東京オペラシティ アートギャラリーにて「千葉正也個展」が開催中です。
展示風景
千葉正也(1980- )は、国内外の美術館で作品が収蔵されるなど、世界中で注目を集めるアーティストです。
本展では、彼が注目を集めるきっかけとなった《平和な村》(2006年、高橋龍太郎コレクション蔵)をはじめ、2006年以降の彼の代表作が一堂に会します。
また、ユニークなドローイング作品や、新作のペインティング、映像作品、大がかりなインスタレーションもあわせて展示します。
多彩な方法を駆使した、ユニークな創作活動
千葉は絵画を描く前に、まず紙粘土や木片でオブジェを制作し、身の回りの品々とともに配置した仮設の風景を作ることからスタートします。
これを、素材の質感によって描き分ける高度なテクニックで絵画化し、展示します。
展示風景より、《タートルズ・ライフ #3》2013年
〈タートルズ・ライフ〉は、中央に亀が住んでいる水槽、その周りに現代社会の隠喩的なモチーフが描かれたシリーズです。
千葉は同じモチーフを繰り返し描いており、これらのオブジェの一部が、実際に展示室のさまざまな場所にちりばめられています。
絵画と彫刻、二次元と三次元の世界の境界があいまいになった千葉作品。
また、会場内をじっくり見て回ると、歩き回っている亀を見つけることができます。こちらもぜひ探してみてくださいね。
オペラシティのための作品も登場
本展のために制作したシリーズ〈温かいギャラリースタッフ〉も展示されています。
展示風景より、《温かいギャラリースタッフ(警備会社)》2020年
電気毛布の上に、東京オペラシティ アートギャラリーの監視スタッフが描かれたユーモアあふれる作品。
訪れれば、描かれたスタッフに会えるかも?
千葉のこういった遊びごころは、どの作品でも見つけることができます。注目してみてください。
絵画を通した新しい鑑賞体験とは
作品はもちろん、千葉正也個展でしか見られない独自の展示構成に注目です。会場は、木材で組み立てられた通路ですべてつながっていて、作品はその周りに展示。
展示風景
「絵画作品は昔から壁にかけるものだ」。
そんな長い歴史を持った‟絵画”へのイメージを取り払い、ありとあらゆる独自の方法で現代アートに落とし込んだ千葉の作品は、観るひとの心に残る鑑賞体験をもたらしてくれますよ。
本展は、千葉にとって美術館での初の大型個展です。
東京オペラシティで、千葉正也の世界に入り込んでみてはいかがでしょうか。
展示風景
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】