展覧会レポート

特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」

2021.6.30

国宝 聖林寺十一面観音がトーハクに!

三輪山信仰のみほとけが約150年ぶりに再会

 

東京国立博物館にて、特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」が開催中です。

 

展示風景

 

国宝 十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)は、日本を代表する仏像のひとつです。

現在は奈良県桜井市の聖林寺で所蔵されていますが、江戸時代までは同市の大神神社(おおみわじんじゃ)に付属した大御輪寺(だいごりんじ:旧大神寺)にありました。

本展では、大御輪寺にあった仏像や、大神神社の自然信仰を示す出土品などを展示しています。

 

 

仏像の名品が東京で初公開!

 

東京国立博物館/特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」展覧会レポート

国宝《十一面観音菩薩立像》(部分)奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺蔵

 

奈良時代(8世紀)に造像された数少ない天平彫刻のなかでも、傑作とされている国宝 十一面観音菩薩立像。

肉身の微妙な起伏や衣の写実的表現に適した木心乾漆造り(もくしんかんしつづくり)という技法でつくられています。

本像を東京で観覧できるのは本展が初めてのこと。

 

また、360度じっくり鑑賞できるようになっており、優雅な表情、均整のとれた体つき、姿勢、しぐさの美しさをさまざまな角度から楽しむことができますよ!

 

 

三輪山信仰のみほとけが約150年ぶりに再会

 

大神神社は本殿を持たず、三輪山(みわやま)を拝む自然信仰が現在でも受け継がれていますが、奈良時代には仏教の影響を受けて、神社に寺や仏像がつくられました。

江戸時代までは神社に仏がまつられるのは珍しくなかったのだそうです。

 

国宝《地蔵菩薩立像》平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵

 

現在は法隆寺にまつられている国宝「地蔵菩薩立像」なども、かつては大神神社の神宮寺である大御輪寺(旧大神寺)にまつられていました。

明治元年、新政府により神仏分離令が発せられると、大御輪寺の仏像は、同寺の住職や周辺の人々の手によって、近くの寺院に移されました。

※神仏分離令:維新直後の明治政府の宗教政策のひとつで神道を仏教から独立させたこと

 

展示風景

 

また、仏教伝来以前の日本の自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品なども展示。三輪山には人々が入ることができない禁足地があり、そこから古代の祭祀を物語る子持勾玉や、造酒に用いる器具の小さな土製模型が出土しており、古くからの信仰の存在を確認できます。

 

 

天平彫刻の傑作とともに、日本に古くから伝わる自然信仰も読み解く本展。

7月13日からは、「聖徳太子1400年遠忌記念 特別展 聖徳太子と法隆寺」も開催されます!本展とあわせてたのしみたいですね(展覧会情報はコチラ)。

 

 

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展覧会名

特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」

会期

2021.06.22~2021.09.12 開催終了

会場

東京国立博物館 本館特別5室

※混雑緩和のため、本展は事前予約制(日時指定券)です。ご予約不要の「当日券」を会場にて若干数ご用意しますが、ご来館時、「当日券」は販売終了している可能性があります。

詳細はコチラ

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Editor  三輪 穂乃香

【編集後記】

展示室は小さいのですが、その分仏像を間近で見上げられる、贅沢な展示ですよ~♪

ミュージアムショップに三輪そうめんもちゃんと売ってました(笑)。

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