Be-dan
2019.6.3
現在、首都圏では「クリムト展 ウィーンと日本 1900」(以下「クリムト展」)「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」(以下「ウィーン・モダン展」)と、2つの大型企画展が好評開催中。両展とも、グスタフ・クリムトをはじめとした、19世紀末~20世紀初頭に芸術の都・ウィーンで活躍した芸術家に焦点を当てた注目展です。その両方の展覧会でミュージアムショップのグッズ制作・ショップ運営を手がけているのが株式会社Eastです。「Be-dan」第3回では、そのEastの代表・開 永一郎(ひらき えいいちろう)さんにグッズ制作にかける思いやアートの楽しみ方についてじっくりとお話を伺いました。
【第1回:Eastの「ものづくり」にかける思いとは?】
―「クリムト展」「ウィーン・モダン展」ともにそれぞれの展覧会の特徴がよく反映されたミュージアムショップが好評ですよね。今回、なぜ両展でグッズ制作を手がけられたのでしょうか?
展覧会のチラシを見ると、同じような開催時期に、どちらもクリムトが中心になるような推され方をしているので、一瞬、似ている展覧会に思えるかもしれません。
でもそれぞれのキュレーション(編集・企画)は大きく違っていて、別々の魅力が存在しています。
だから、それぞれの展覧会の良さがグッズやショップ運営にしっかりと表現できたら、ふたつのショップは調和し合い、両方の展覧会に足を運んでくださった方たちも満足してもらえるようなものができるかもしれない、そう思ったからです。
だって、どちらも本当に素晴らしい展覧会なんです。
クリムト展にはクリムト展にふさわしいショップを、ウィーン・モダン展にはウィーン・モダン展にふさわしいショップを作ってみたい!そう思って、両手を挙げさせていただきました。
―そうだったんですね。私も両方見に行きましたが、どちらもユーモアのある素敵なミュージアムショップでした!(※詳しくはCOCOMONOをチェック!)
グッズを作る上で大切にしていることってありますか?
そうですね、まず美術館の「美」だから美しくありたいですよね。美しいものを美しく作る。よい素材を使って、良い技法を使って、良い職人さんと正しく作ることで、少しずつ美しさに近づけるんじゃないかと思います。
それから、余計なことをしない。ミュージアムショップの商品は、僕らの作品ではないですから。美術館の来館者は作品(今回の場合はクリムトをはじめとしたウィーン世紀末のアーティストたちの)を見に来きてくださっています。だから、どうしたら素晴らしい作品の記憶をそのまま持ち帰えられるものにできるか、常に考えています。
でも「余計なことをしない」ことと、「何もしない」ことは大きく違います。何もしてないように見えるために、実は凄くたくさんの工夫をしているんですよ。
まとめるとEastが大切にしていることは、作品に対して敬意を払うこと、大切に作ること、それがすべてだと思いますね。
―なるほど、具体的にはどのようなことを意識されているんですか?
グッズを作るという視点でお話しますと、僕たちは、できる限りものづくりの現場と直接やり取りをしています。
そうやって商品の制作過程や製造方法をつきつめて理解した上で企画・デザインをする。そのことで、あと少し頑張れるか、頑張れないか、それは小さな差でしかないかもしれないですけど、実はとても大きな違いになると思っています。
今回のクリムト展、ウィーン・モダン展のグッズもたくさんの職人さんのチカラを借りて制作しています。
開 永一郎(ひらき えいいちろう)
株式会社Eastの代表取締役
同社にて、ミュージアムグッズの企画、デザイン、製造、卸、インテリア、テーブルウェアの企画販売
店舗デザイン、マーケティング、商品企画まで幅広く手がける。
★他のインタビュー記事を読む
株式会社ジャパン・アーツ・川田真梨子さん
作家、イラストレーター・杉全 美帆子さん
その他の記事はコチラ
Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。