NULL 鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵 ―朝日智雄コレクション/展覧会レポート | OBIKAKE(おびかけ)

展覧会レポート

鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵

2020.2.20

美人画の名手、鏑木清方にライバルがいた!?

清方と英朋による明治の美しい女性たち

 

太田記念美術館で「鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵 ―朝日智雄コレクション」が、開催されています。

 

鰭崎英朋 柳川春菜・著『誓 前編』口絵 大正4年(1915)6月 木版

 

昨年、「築地明石町」が44年ぶりに発見されて話題となった鏑木清方(かぶらき きよかた)。美人画の名手として広く知られていますが、明治30年代後半から大正5年頃にかけては、文芸雑誌や小説の単行本の口絵を描いて活躍していました。

 

清方が口絵で活躍していた当時、その人気のツートップに鰭崎英朋(ひれさき えいほう)がいました。2人は、月岡芳年(つきおか よしとし)の孫弟子であるとともに、烏合会(うごうかい)という美術団体に所属した友人同士でもありました。

 

本展では、世界トップクラスの木版口絵のコレクター・朝日智雄さんの所蔵品の中から、清方と英朋が描いた明治の美しい女性たちの口絵を紹介!さらに、2人が登場する以前から活躍していた4人の絵師の作品も展示されます。

 

 

そもそも「口絵」とは?

 

 

口絵とは、小説などの書籍、雑誌で表紙の次や本文の前にある絵や写真のことをいいます。

 

本展で展示されている口絵は「木版口絵(もくはんくちえ)」と呼ばれる版画は、明治20年代半ばから大正初期にかけて、小説の単行本や文芸雑誌の巻頭に挿入された一枚摺りの版画のこと。大きさはA4用紙くらいで、これが折りたたまれて挿入されています。

 

 

木版口絵は、江戸時代から続く浮世絵版画に連なるだけではなく、江戸の技術を遥かに上回るていねいな彫りや摺りが施されています。しかし、現在の浮世絵研究ではほとんど取り扱われることがなく、忘れられたジャンルとなっているのが現実です。

 

 

大正・昭和を代表する日本画家!鏑木清方

 

気品あふれる美人画で人気を博した鏑木清方。前半生は挿絵画家として活躍し、木版口絵も数多く制作しています。

 

 (左から)鏑木清方 菊池幽芳・著『百合子』後編 口絵 大正2年(1913)2月 木版/鏑木清方 菊池幽芳・著『秘中の秘』前編 口絵 大正2年(1913)2月 木版 ©Akio Nemoto

 

こちらの作品は、明治・大正期の小説家である菊池幽芳(きくち ゆうほう)の小説に挿入されていた口絵です。

 

「秘中の秘」に描かれている西洋人らしい男女の名前は、堀彦市と園山菊枝。本作の登場人物は全員日本名ですが、舞台がイギリスのため、西洋人の姿で描かれています。

 

清方のライバル!セクシーな美人画を描いた鰭崎英朋

 

現在ではほとんど忘れられた存在となってしまった、鰭崎英朋。明治30年代後半から大正初期にかけて、鏑木清方と人気を二分する挿絵画家でした。

 

鰭崎英朋 柳川春菜・著『かたおもひ』三巻 口絵 木版 金尾文淵堂 大正3年(1914)6月

 

明治期の口絵では、小説の場面を説明しようとする意識が強いですが、大正期の口絵は、女性たちの顔や体を大きく捉えて、内面の感情を全面に出した作品が多く制作されています。本作の女性の表情も、一般的な美人画に比べると豊かです。

 

清方も英朋も歌川豊春から始まる浮世絵界最大の派閥「歌川派」に連なる人物。その歌川派に着目した展示は、弥生美術館で開催中です。(3/29まで)相互割引もあるので、はしごしてみてはいかがでしょうか。

 

清方のお師匠!水野年方

 

水野年方(みずの としかた)は、浮世絵師・月岡芳年の弟子であり、鏑木清方の師匠で、江戸時代から続く「歌川派」の流れを近代まで伝えた人物です。

 

(手前)水野年方 泉鏡花・著「外科室」(『文芸倶楽部』第1巻第6編)口絵 明治28年(1895)6月 木版

 

明治12年(1879)、月岡芳年に入門した年方。新聞小説の挿絵や、美人画や戦争画の錦絵など、浮世絵師としてさまざまなジャンルの作品を発表しました。多くの兄弟弟子がいる中で、芳年の後継者として一目置かれるほど、その技量は抜きん出たものでした。

 

明治41年(1908)という口絵がまだ華やかだった時代、数え年43才という若さでこの世を去ってしまったため、木版口絵の評価が不十分なまま現在に至ります。

 

 

歴史に埋もれてしまった口絵の魅力を紹介する本展。今回は、1階、2階の展示室のほか、地下の展示室も解放されます。浮世絵好きの方はもちろん、近代文学が好きな方もぜひ足を運んでみてください。

 

information

会場名:太田記念美術館

展覧会名:鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵 ―朝日智雄コレクション

会期:2020.02.15〜03.22

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3/31まで臨時休館中。本展覧会は、同じ展示内容で再び開催される予定です(会期は未定)。

開館時間:10:30〜17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日

料金:一般 1,000円、大高生 700円、中学生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/8409/

公式サイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

 

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Editor  静居 絵里菜

【編集後記】清方、英朋の女性を見比べると面白いかも◎私は英朋の描いた女性が好みでした♡

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