Be-dan
2021.1.18
今月のBe-danは、日本女子大学准教授でフランスの服飾史を研究する内村理奈先生にインタビュー!
第2回では、フランス服飾文化の魅力から素敵な服飾が見られる美術館などをお聞きしました!
つづく第3回ではさらに話題を広げて、先生の「好きなもの」についてたくさんお伺いします。
(第2回はコチラ)
内村理奈先生 ※撮影時のみ、マスクを外していただきました。
―先生はお仕事以外でも、ファッションの展示は見られますか?
ファッションの展示はもちろん沢山見ますが、もともと、絵を見るのが好きだったので、絵画もよく見ます。
大学3年生の春休みに、友人と2人旅で初めてヨーロッパに行きました。彼女が絵を描く人だったのもあって、一緒にありとあらゆる美術館を巡りました。27日かけて7か国くらい回って、最終的に見飽きるほど美術作品を観賞しました。
―贅沢な経験ですね。羨ましい!
振り返ると、あの経験が自分の原点と言えるかもしれません。今の自分の中にとても大きく残っている思い出です。
今でも、ちょっと出かけるとなると、たいてい美術館に行きますよ。
―日本美術もご覧になったりしますか?
はい、見ます! 学生時代は日本の服飾と西洋の服飾どちらを研究するか迷ったくらい、日本のものも大好きなので。
日本美術だと、鏑木清方など近代絵画の美人画や、浮世絵などが興味深いです。
―先生がよく行かれる美術館、ぜひお聞きしたいです!
よく行くのは、国立新美術館です。
実は、建築や室内装飾も好きで。インテリアの雑誌もよく読んでいます。なので建物や内装が素敵なミュージアムには惹かれます。三菱一号館美術館とか、東京都庭園美術館とか…。
あと、第2回でも触れた島根県立石見美術館。あの地方で作られている石州瓦が使われていて、とても綺麗です。
レンガのような赤茶色の瓦が、光に当たるときらきら輝いて……広い中庭に水を張ってあって、すごく美しい光景が見られます。
―美術、建築、装飾……いろいろ話が広がりますね。フランス文化も、服飾以外にお好きなものはあるのでしょうか?
もちろんです。大好きなものばかりですが、まず街並み! フランスはどこを歩いていても、映画の1シーンのようで美しいです。
パリは白い壁にブルーグレーの屋根、私が留学していたリヨンは壁がピンクっぽくて赤茶の屋根と、建物に統一感があります。
食べ物も、特別なご馳走だけでなく、町中の市場(マルシェ)で買えるちょっとしたものでもすごく美味しいです。
それに、芸術を大切にしているお国柄も好きですね。
―フランスでは、デザイナーや芸術家が活躍しやすいのでしょうか?
そうですね。画家やクリエイターだったり、音楽家だったり、ダンサーだったり。アーティストたちをリスペクトする雰囲気があります。
いわゆる不要不急と言われてしまうようなものでも、大事にする国です。心が豊かというか。
どこへ行っても素敵な絵画に出会えるし、毎年6月にある「音楽の日」では、プロアマ問わずいろいろな音楽家が町中で演奏しています。日常に当たり前のように芸術があるからかもしれませんね。
―やはり芸術に恵まれた国なんですね。
自然も豊かですよ。フランスは農業国で、パリからTGVという列車に乗って郊外に出ると、どこまでも田園風景が広がっています。
都会のパリはともかく、田舎のほうに行くとゆったりとした時間が流れています。特に南へ行けば行くほど、その土地の人々から大らかさを感じます。
フランスは華やかなイメージが強いですが、実際のフランス人は意外と質素です。ちょっと壊れたものなら自分で修理して大事に使ったりする、そんなところも好きです。
時間がいくらあっても足りないほど、素敵なお話ばかりでした。
第4回では、もっと美術鑑賞が楽しくなる服飾の知識を教えていただきます!
(第4回につづく)
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Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。