Be-dan

静嘉堂文庫美術館・河野館長がこれからやっていきたいことって?(4/4)

2020.12.28

今月のBe-danは、静嘉堂文庫美術館・河野元昭(こうの もとあき)館長にインタビュー!

第2回、第3回は、開催中の展覧会『江戸のエナジー 浮世絵と風俗画』の見どころを教えていただきました。

 

最終回は、河野館長に毎日更新し続けている『饒舌館長のブログ』のこと、そして、これからやっていきたいことについて、たっぷりとお聞きしていきます!

第1回第2回第3回

 


静嘉堂文庫美術館 河野館長

 

―『饒舌館長のブログ』、更新し続けてもう10年以上になると知って驚きました。ブログを始めたきっかけを教えていただけますか?

 

秋田県立近代美術館の館長をしていた時に、職員から「ホームページのコンテンツとして書いてほしい」とお願いされ、やってみたら面白かったことがきっかけです。それからずっと続けていて、今は毎日更新していますね。

 

―毎日欠かさず更新されているので、本当にすごいです!

 

書き始めた頃は1週間に1回くらいの更新で、長い文章を載せていました。

当時教えていた大学の学生から「長い文章よりも、短く分けて載せたほうが読みやすく、アクセス数も伸びますよ」とアドバイスをもらい、それ以来、今は週末などにまとめて書いて、だいたい400字くらいずつ数日に分けて投稿しています。

 

―テーマはいつもどのように探しているのですか?

 

ブログにアップしようと思っている本や新聞記事、あと私は漢詩(*)が好きで、その訳などをネタにしていますね。その情報とか、展覧会のカタログやチラシなども一緒にして、一つの棚にまとめることもあります。そこからいつも選んで記事にしていきます。

 

*漢詩(かんし):中国の詩のこと。

 

 

書きたいことはたくさんあるけれど、実際に書けるのは、その十分の一くらいですね(笑)。

美術だけじゃなく、お酒の話とか、猫の話など、時々ですがそういう柔らかい話題も入れるようにしています。

 

―読者とアクセス数のことも考えつつ、楽しみながら続けていらっしゃるんですね!

河野館長がこれからやっていきたいことを、ぜひお聞かせください。

 

2022年に予定している美術館の移転の成功させることですね。

 

―移転先の明治生命館は、建物自体が重要文化財という、素晴らしい場所ですよね。

 

そうです、1934 (昭和9)年に、建築家の岡田信一郎(おかだ しんいちろう)が作ったものです。

ネオルネサンス古典主義様式が取り入れられていて、昭和の建物として初めて国の重要文化財に指定されています。

 

*静嘉堂文庫美術館は、開館 30 周年を迎える 2022 年に、東京丸の内の、明治生命館1 階に美術館の展示ギャラリーのみを移転することが発表されています。詳しくはコチラをご覧ください。

 


明治生命館外観

 

私も、移転する話をいただいてから改めて、明治生命館へ行きました。やはり素晴らしい空間で、ここなら多くの方に岩﨑家のコレクションを楽しんでもらえるだろう、と思いました。

場所は皇居の目の前の一等地ですし、何より、岩﨑彌之助(いわさき やのすけ)は、❝丸の内に美術館を作る❞という夢をずっと持っていました。それがいよいよ実現されようとしています。そういう意味でも、私は全力投球したいと思っていますね。

 

そして、やりたいことがもう一つ。今まで私は研究者として、結構な量の文章を書いてきました。ただ、ちゃんとまとめた論文集がありませんでした。幸いにも知人からの薦めで、2015年の琳派四百年記念の時に、『琳派 響きあう美』というタイトルで論文集を出版しました。

そして2018年に、文人画の研究をまとめた『文人画 往還する美』を出版し、現在は、京都と江戸の絵師に関する研究をまとめた本を準備します。この1冊が無事に出せたら、3部作になります。

これらが今、私がやりたいと考えていることです。

 

貴重なお話やご経験談など、終始とても朗らかにお話しくださった河野館長。改めて、ありがとうございました!

2021年2月7日まで、「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」も開催中です!

 

静嘉堂文庫美術館「江戸のエナジー 浮世絵と風俗画」展示風景

 

自然豊かな二子玉川の静嘉堂文庫美術館へ、ぜひゆったりのんびりと訪れてみてください。

次回のBe-danもお楽しみに!

 

 

information

展覧会名:江戸のエナジー 風俗画と浮世絵

館名:静嘉堂文庫美術館

会期:2020.12.19〜2021.02.07

開館時間:10:00-16:30

休館日:月曜日(ただし、1/11は開館)、1/12
年末年始(12/28~1/4)

料金:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/6665/

公式サイト:http://www.seikado.or.jp/

 

 

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Editor | 静居 絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

 

Writer | naomi

採用PR・企業広報職、Webメディアのディレクターなどを経て、アート&デザインライターに。
作品と同じくらい魅力的な、作家の人となり・ストーリーも伝えたくて書いてます。
好きなもの・興味関心と守備範囲は、古代文明からエモテクのロボットまでボーダーレスです。

note  https://note.com/naomin_0506

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