Be-dan
2020.4.6
みなさんは普段、駅を歩いているときなどに展覧会の広告を見て、「あ、行きたい!」と思ったりしませんか?
見た人がわくわくするような広告づくりは、展覧会の宣伝で大事なポイントとなります。
今月のBe-danは、そんな展覧会の広告を手掛ける、デザイン会社RAMの田部井ゆい子さんにインタビュー!
第1回では、展覧会広告のお仕事について、お聞きします。
田部井さんと看板犬・ピッピちゃん。インタビューもお利口に参加してくれました♪
―まずは、田部井さんのお仕事について教えてください。
展覧会のポスターやチラシ、チケット、交通機関での広告などを、ロゴも含めてデザインしています。その他にも、プレスリリースなどメディア向けの広報資料も担当することがあります。
まずはキービジュアルとなるデザインを作って、それをチラシやポスターなど、いろいろな形に展開させていくことが多いです。
―デザインのお仕事って、具体的にどんな形で進めていくのでしょうか?
展覧会にもよりますが、まず他のデザイン会社さんと競うコンペで、デザイン案を採用していただくことが多いです。
コンペまでにデザイン案を作り上げて、採用された後はそれをもとに、チラシやポスターの細かい部分を調整していきます。
―コンペまでのデザイン案を作り上げる流れも、ぜひ教えてください!
まず、コンペに参加するデザイナーたちに向けたオリエンテーション(説明会)があるので、そこでどのような内容の展覧会で、どのようなお客様に来ていただきたいかという説明を受けます。
その後、コンペまでにボスのアートディレクター田口と話し合い、デザイン案を作ります。
そして当日は、クライアントとなる主催者の皆さんに「キービジュアルは、こんなデザインでいかがでしょうか?」とプレゼンします。
アートディレクターの田口さんと田部井さん。とことん話し合ってより良いものを作り上げるそうです!
―オリエンテーションからコンペまで、どれくらいの時間をかけてデザインを考えるのですか?
だいたい2~3週間くらいです。展覧会に関係した情報をたくさん集めながら、田口と話し合って、出てきたアイデアをブラッシュアップして、もっと良い作品に仕上げていきます。
―コンペのときには、もう大まかなデザインが決まっているということですか?
基本的なところは決めています。
もちろん、めでたくコンペで採用されても、そこで終わりではありません。
いざポスターやチラシを作る段階でも、いろいろな制限が出てくるので調整していきます。このとき、チラシの裏面など細かな部分を、展覧会のイメージに合わせて詰めていきます。
―この春開幕の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も担当されたそうですね。この春大注目の展覧会ですが、こちらのお仕事では「こんなデザインがいい」というお話はあったのですか?
どんな要望を頂くかは展覧会ごとに変わりますが、今回の展覧会についてはあまり制約がなく、自由にデザインしました。
イギリス国外で、今回ほど大きな規模のロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品展が開催されるのは初めてだそうなので、品格ある王道感を表現しました。
―コンペは他のデザイン会社と競うことになりますが、依頼を直接受けるときより緊張しませんか?
コンペであること自体は、あまり特別に思わないようにしています。デザインを作り上げていくというお仕事自体は、競う相手がいてもいなくても一緒なので。
もちろん、競う相手がいることは少し意識しますが、まずは自分たちらしいやり方を大事にしています。
なんという職人肌! かっこいいですね。
次回はさらに詳しく、デザイナーさんがどんなふうにデザイン案を作り上げていくのかに迫っていきます!
(第2回につづく)
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Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。