Be-dan

「デザイナー」という仕事!RAM・田部井さんがやりがい・達成感を感じる瞬間とは?(2/4)

2020.4.13

今月のBe-danは、展覧会の広告を手掛ける、デザイン会社RAMの田部井ゆい子さんにインタビュー!

第1回目では、展覧会広告のデザインというお仕事についてお聞きしました。第2回では少し掘り下げて、お仕事でのやりがいや、楽しさ・難しさについてお聞きしました。

 

―第1回で、デザイン会社同士の「コンペ」についてお聞きしましたが、依頼者の方々から説明を受けたあと、展覧会で扱う作品やジャンルについてご自身でも調べますか?

 

 

はい、さらに掘り下げて研究しますね。主催者の方々からお話を聞いてから、展覧会のテーマにマッチしそうなものや、そのテーマに関連するものなど、どんどん想像を広げていきます。まずはありとあらゆる情報を集めて、そこから「今回の展覧会はどんなデザインにするのがふさわしいか?」と考えます。徹底的に勉強して、アートディレクターの田口と意見を出し合っています。

 

―お2人で、意見が違うことはありますか?

 

もちろんあります。2人の世代や経歴が違うからこそ、さまざまなアイデアが出ます。たとえ意見が割れても徹底的に話し合って作り上げたときは、本当に良いものができるんです。なので、RAM全体の方針として、議論するときは年齢や立場は関係なく話し合います。たとえば「こういうデザインにしたい」と考えても思うように進まないときは、知識と経験に基づいたアイデアをどんどん出してくれます。

 

―デザイナーというお仕事の、どういった点にやりがいや魅力を感じますか?

 

一番は、「形のないものを形にする」ことですね。デザイナーは、自分が作りたいものではなく、依頼者の要望に応じたデザインをします。展覧会のお仕事の場合は、キュレーション…どんなコンセプトの展覧会にするのか、どんなふうに展示を見てほしいか、そうした学芸員さんの思いでしょうか。

そして大前提として、広告は集客につなげることが一番の役割なので、展覧会の世界観や雰囲気を伝えて「行ってみたい!」と思ってもらわなければなりません。そうした形のないものを、チラシやポスターなどで具体的な形にできるのが、とても楽しいです。

 

 

―お仕事をするうえで、楽しさのほかに難しいなと感じることはありますか?

 

展覧会のお仕事は、それぞれのジャンルの超一流のものを扱うわけですが、いろいろな点に気を配らないとその作品が持つ魅力を引き出しきれないこともあります。作者の想い、そして作品の背景と、展覧会が行われる「今」という時代、全ての要素をバランスよく押さえた、まさにその展覧会にふさわしいデザインが必ずあるんです。それを見つけることが、デザインのお仕事の楽しいところでもあり、難しいところでもあると思っています。

 

―多岐にわたる展覧会を担当されていますが、それぞれのジャンルでの面白さや難しさも教えていただきたいです。

 

それぞれのジャンルのファンにひびくものを考えるために、いろいろな時代や地域に思いを馳せることができるのが面白いです。そんなタイムトラベルするような楽しさをいかに表現するかが難しいところでもあります。

 

―達成感を味わうのはどんなときですか?

 

さまざまなジャンルの展覧会を担当されています!

 

まずは展覧会の顔になるメインビジュアルが採用され、私たちの想いが通じたときです。あとは、自分たちのお仕事の結果としてチラシやポスターを街中で見かけたときも、展覧会を作る側の一員になれたという達成感があります。展覧会が終わっても、チラシやポスターはずっと残ります。皆さんの思い出というか、後で展覧会を思い出せるものになれるのも嬉しいです。

実際のデザインの作業だけでなく、調べることが大事だなんて、意外に思う方もいるでしょうか。

 

こうしたお話を聞くと、1枚のチラシにたくさんの情熱や苦労が込められているとわかりますね!

次回は、田部井さんの働くオフィスや、展覧会の鑑賞法などをお聞きします。お楽しみに!

第3回へつづく)

 

 

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Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。

取材に集中できないくらいかわいいワンコです(笑)。

 

Writer | ニシ

美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。 

 

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