NULL 企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」。横山教授が、研究されている分野とは?(3/4)/Be-dan | OBIKAKE(おびかけ)

Be-dan

歴博・横山教授が、研究している「日本近世史のジェンダー史」とは?(3/4)

2020.10.19

今月のBe-danでは、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市/以下、歴博)で開催中の、企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」を担当された横山百合子教授にインタビュー!

 


横山百合子教授

 

第2回では、展覧会の見どころをたっぷりとお話いただきました。

続く第3回では、横山先生が専門とされている、日本近世のジェンダー史について、詳しくお聞きしていきます!

 

―横山先生は、今はどのようなことに興味を持たれて、研究されてるのですか?

 

ここ数年は遊廓について研究しています。

私たちがイメージする遊女は、貧しい家の娘が身売りされ、遊廓で働いている姿を思い浮かべると思います。しかし「性の売買」について歴史的に紐解いていくと、どの時代もそうであったわけではありません。

 

企画展示「性差の日本史」展示風景

 

古代には、性を売買するという概念がありませんでした。性の売買つまり売買春(ばいばいしゅん)は、平安時代の半ば頃に始まり、芸能のプロフェッショナルが宴席を盛り上げ売春もするという形、場合によっては宿屋経営も兼ね、遊女の家を女系でつないでいく自営業として行われていました。

 

江戸時代になると、人身売買によって遊女を得た遊女屋が、幕府の公認を受けて、売買させる遊廓が生まれます。

 

そして明治期以降になると、表向きは雇い主が座敷を貸して、遊女が自発的に売春するものとされていました。しかし実際には、身売りが多く行われていました。

 

―世界的に学問として「ジェンダー」が、研究されるようになったのは、いつ頃からでしょうか?

 

80年代に歴史学の分野で「ジェンダー」という考えを最初に掲げたのは、アメリカの歴史家、ジョーン・W・スコットです。スコットは、文化的・社会的に作られる性差という意味で、ジェンダーという概念を提起しました。

 

日本では、90年代から「ジェンダー」が学問に不可欠であると考えられるようになって、2000年代に、ジェンダーを研究する学会さまざまな分野で設立されました。世界的には遅いですね。

以前からある「女性史」の研究とは違い、「ジェンダー」は男女の関係性や、社会的役割などを扱う学問です。

 

―横山先生が、ジェンダー史の研究に興味を持ったきっかけは、なんでしょうか?

 

 

日本近世史を研究する中で、『東京府文書』という資料に巡り合いました。この資料は、明治維新の頃の事件や裁判、行政の指示や災害についてなど、ほぼすべての行政文書をまとめたものです。戦争で多くは焼けてしまいましたが、2万冊以上が今でも残っており、重要文化財になっています。

それだけ膨大な資料の中で、女性が中心となった案件は、遊廓を除けば、たった1つしかありませんでした。

たった1つの案件というのは、浅草寺の南にあった、ウメ、ソメ、カヨという、女性だけで商売している家についてのものです。そこには、「町の集まりに来る家の代表は、男性でなくてはならない」と言われて、トラブルになったという内容が書かれていました。

 

この『東京府文書』のたった1つの女性についての資料を読み、「人口の半分は女性のはずなのに、記録に残っていないのはなぜだろう」と興味を持ち、研究を始めたのがきっかけです。

 

―今後の目標を教えていただけますか?

 

ボーダレス化してきている現代でも、日本では、男女差別はまだまだ大きいです。

また、男女平等に向けて、社会全体が変わってきていますが、一方で男性も女性も、心のどこかで、男は、あるいは、女はこうあるべきだという意識にとらわれ、葛藤もあるのではないでしょうか。

歴史の中の「ジェンダー」の研究を通して、未来へのヒントが発見できるような「ジェンダー」研究を、しっかりと行っていきたいと考えています。

 

横山先生が担当された企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」では、先生が研究されている遊廓の資料のほか、古代、中世、そして現代までの「ジェンダー」に関する歴史資料を、観覧することができます!

こちらもぜひ、足を運んでみてください♪

 

企画展示「性差の日本史」展示風景

 

第4回では、本展の展示準備のために訪れた博物館について、たっぷりとお聞きしていきます。

次回のBe-danもお楽しみに!

(第4回に続く)

 

information

展覧会名:企画展示 性差(ジェンダー)の日本史

会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B

会期:2020.10.06〜12.06

開館時間:9:30~16:30(入館は閉館の30分前まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。詳しくは公式サイトをご覧ください。

企画展示会場内の混雑防止のため、会期中の土・日・祝日、終了前1週間につきましては、webからのオンライン入場日時指定事前予約を受け付けています

事前予約をされた方は、ご希望の時間にご入室いただけますが、ご予約のない方も、定員に達していない時間帯は、当日来館しての時間指定が可能です。ただし、事前予約が優先となり、ご希望に添えないことがありますので、ご了承ください。

詳細はコチラをご覧ください。

休館日:月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)

料金:一般 1,000円、大学生 500円、高校生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/12990/

公式サイト:https://www.rekihaku.ac.jp

 

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Editor | 静居 絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

 

Writer | 佐藤 万貴
大学で美術史を専攻し、学芸員資格と英語教員免許を取得しました。証券営業を経て、東京でフリーライターとして活動中。趣味は旅と山登りです。
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