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East代表・開さんがものづくりをしてきて見えてきたもの(3/4)

2019.6.17

第2回ではミュージアムショップを運営していくメンバーやチームについてお聞きしました。3回目は、30年間ものづくりをしてきた開さんが肌で感じている変化について伺いました。

 

 

【第3回:開さんが30年間ものづくりをしてきて見えてきたもの】

 

 

―Eastの目指すものについて、たくさん伺ってきましたが、もちろんそれを実現するには苦労もたくさんおありですよね。壁にぶつかったりはしないですか?

 

 

そうですね、僕は19歳の時から30年以上、ものづくりの仕事をしてきているのですが、以前と比べると、日本の普通のものづくりの現場がどんどん弱くなってきているように感じます。

 

日常のモノを作れる人たちが減ってきてしまっている。例えば、国内で作っているマグカップにしても、その生産力は10分の1では済まないんじゃないかなぁと思う。みんな続けられなくなって辞めていっちゃうんですよね。結局、価格のことばかり厳しくなって、他の国と値段競争になったら、やっぱり多くの場合、しんどくて、誰かに後を継がせたくない仕事になり、お父さんの代で終わっちゃう。そんな事をたくさん見てきました。

 

それと、目の前にあるものがどうやって作られているのか知らない(知る必要がない)人が増えているとも感じています。魚のアジは最初から切り身で泳いでるんじゃないかと思っている人がいるっていう冗談があるけれど、サービスが行き届き過ぎて、魚は誰かが、捌かないとお刺身にはならないんだということを、実感として分かりにくくなってきているのかもしれませんね。どうやって作られているか、またその作り方の差が分かれば、そこに価値を見いだせるだろうし、そういったことに興味が持つ人たちが増えたら、ものを作る人たちの頑張りが正当に評価されたり、報われたりするんじゃないかと。そんなことをミュージアムグッズを通じて改めて多くの人に伝えていけたら良いと思うんです。

 

 

―そうですね、お恥ずかしいですが、私も少なからず思い当たる節があります。(編集長松栄は、H8年生まれの23歳)そんな中で、みなさんを支えているものはなんなのでしょうか?

 

 

 

もちろん、たくさんの苦労はあります。ミュージアムショップもきれいごとだけではやっていけないっていう意見もあります。それでも僕たちは、信じている理想みたいなものがあって、それに向かって進んでいきたいと思っているんです。

 

理想が何かっていうのは、答えはひとつじゃないと思います。例えば僕らにとっては、効率や能率よりも、大事なことがあるってこととか。効率や能率を優先すると、コストが下がってみたり(原価が減る)、それによって同じ金額で売るんだったら儲けが増えたり、なんていうこともあるけど、そういう競争じゃなくて、展覧会に訪れた人たちが、どういうものだったら喜んでくださるか、どうしたら多くの笑顔が見られるだろうか、そんなことを最優先して考えてみるようにする。時にやせ我慢だってする。

 

そうすると、結果として数字もしっかりついてきてくれる。多くの人たちにその思いは、ちゃんと届く。そんな凄くシンプルで、とても強いものに支えられているんです。そこがこの仕事の一番ありがたく、一番幸せなところです。

 

第4回に続く

 

開 永一郎(ひらき えいいちろう)

株式会社Eastの代表取締役 

同社にて、ミュージアムグッズの企画、デザイン、製造、卸、インテリア、テーブルウェアの企画販売

店舗デザイン、マーケティング、商品企画まで幅広く手がける。

株式会社East

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)

 

Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。

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