Be-dan
2020.3.13
話題の展覧会「ハマスホイとデンマーク絵画」を企画監修された、萬屋学芸員へのインタビューもいよいよ今回が最終回。
第4回では、萬屋学芸員ならではのアート鑑賞法について解説していただきました!
「ハマスホイとデンマーク絵画」展示風景
―美術館で作品を楽しむ時、個人的なこだわりなどがあれば教えてください。
展覧会では、時間を気にせずに自分が観たいものを観るようにしています。だいたい気になる作品があらかじめあって、展覧会で実物を観て、「あー、こうか、こうなっているのか」と納得して帰る、というそんな感じです。作品を鑑賞というよりは、気になる作品を美術館に確認しに行くという感じですね。
―初心者の方にも応用できそうですね!
そうですね。あんまり美術鑑賞に慣れていない、作品を観たことがないという方は、展覧会に行ったら、1点か2点自分の好きな作品を選んで、なぜ自分がその作品に惹かれるのかを考えて、答えが見つかるまでゆっくりと観るのがいいと思います。その答えが見つかったら帰る、というふうにすると、1回1回の鑑賞が非常に深いものになるんじゃないかと思いますね。
ヴィルヘルム・ハマスホイ《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》1910年 国立西洋美術館蔵
―ハマスホイの中ではどの作品を一番鑑賞されましたか?
一番良く観たのは、今回の展覧会には来ていないんです(笑)。ハマスホイの手紙など、資料をまとめて所蔵しているヒアシュプロング・コレクションに、彼の妹を描いた作品があるのですが、それを一番見ました。ハマスホイのデビュー作なんです。
―ハマスホイの作品を初めて観る初心者に、鑑賞のアドバイスをいただけますか?
初めて観る方は、細かい部分に着目するよりも、彼の作品が持つ独特の世界観を感じていただくのがいいかなと思います。作品ごとに画風が劇的に変わるという画家ではないので、まずは気に入った作品をみつけて、ハマスホイの静謐(せいひつ)な作品世界にひたっていただければと思います。
―最後に、「ハマスホイとデンマーク絵画」展を見る人に何かメッセージをお願いします。
本展をきっかけに、デンマークという国にも興味を持ってくれたら嬉しいです。彼らの考え方や歴史・文化を知ることで、美術鑑賞もより深みを持った体験になると思うんです。もっと興味を持ったらデンマークに旅行に行ったり、デンマーク人と交流したりするのもいいですね。展覧会が、日本とデンマークの文化交流や相互理解のきっかけになれば、嬉しいです。
―お話を通して、より深くハマスホイやデンマーク絵画の新しい面白さに気がつくことができました。ありがとうございました!
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。
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