Be-dan
2021.2.1
今月のBe-danは、株式会社虎屋で、ギャラリー運営や虎屋文庫を支えるお二人にインタビュー!
第1回は、虎屋 赤坂ギャラリーの展示企画などを担当されている小谷 由香里さんに、赤坂店の見どころや、ギャラリー展示についてたっぷりお聞きしました。
(左)小谷 由香里さん(右)河上 可央理さん
※撮影時のみ、マスクを外していただきました。
―2018年10月にリニューアルオープンされた赤坂店は、どこにいても木の温もりを感じる建物ですね。
はい、建築家の内藤廣さんに設計いただきましたが、外壁から、店内の階段や通路、エレベーターの中まであらゆる部分に木材を使用しており、都内では珍しいと思います。
3階の虎屋菓寮は、窓から赤坂御用地の緑を臨むことができ、ゆったりお過ごしいただける空間です。また、話し声などの音が響きにくい設計で、落ち着いてお過ごしいただけるような工夫がされています。
―虎屋菓寮に併設した製造場では、赤坂店限定のお菓子「残月」を作っている様子を間近で観ることができるのですね! 職人の方々の様子に見入ってしまいます。
「御用場(ごようば)」と呼ばれる製造室では、赤坂店でその日に販売するお菓子などを作っています。
「残月」の生地を焼いている銅板は180℃にもなる高温ですが、職人は素手で生地を扱わないと感覚がわからないそうです。
※緊急事態宣言を受け、2021年2月現在赤坂店限定「残月」の製造を休止しています。
―すごい!まさにプロの技ですね。2階の売場も、窓が大きく開放的で、ゆったりとした広さも印象的でした。
売場は対面式のショーケースをなくし、お客様に寄り添って接客できる点が特徴です。(現在(2021年2月)はお客様と販売員の接触をなるべく控えております。)
また、車椅子の方でもできるだけディスプレイに近寄ってご覧いただけるよう、什器の形も工夫されています。
赤坂店は、今の時代にお客様が和菓子屋に求めていらっしゃることは何かと考えた結果、自然を感じてゆったりと過ごしていただけ、ほっとするような、「居心地のよい」空間を目指しています。
―小谷さんが企画された『ようこそ!お菓子の国へ ―日本とフランス 甘い物語―』展は、どんなきっかけから企画されたのでしょうか。
とらやのパリ店が2020年でオープン40周年を迎えたことで、ピエール・エルメ・パリさんとコラボレーションした商品を販売しました。本展は、ギャラリーでも何か連動した企画を、という社内からの声がきっかけで企画しました。
“和菓子と他の国のお菓子を対比させる”という展示は、これまで行ったことのない内容でして、他でもあまり見た記憶がありませんでした。参考にできるような資料などもない中で、どのような切り口で見せるのか、どんな結論に持っていくのか、など、全てを自分自身で考えていかなければならなかったのは、相当なプレッシャーでしたね。
でも、自分でやり遂げたという感覚があって非常に楽しかったです。
―素敵なイラストなども多用した展示は、ポップで親しみがありました。
嬉しいです。情報の見せ方や装飾などを工夫して、お客様に気軽な気持ちでいらしていただき、「わ!楽しい!」と瞬間的に感じていただけるようなもの、誰もが楽しんでいただけるような内容を心掛けて準備していきました。
―どのくらい前から準備に取り掛かってらっしゃったのですか。
展覧会の内容は夏頃に、翌年の4月から翌々年の3月までの分の企画決めをしています。この展示は、担当者として私が、テーマ設定から構成、執筆、インタビューの質問事項を考えるなど、全ての対応を行っていきました。ですので準備にだいたい7ヶ月くらいかかりましたね。
担当者が一貫して行うといっても、お菓子の歴史などの情報は弊社の一部署である「虎屋文庫」にあるため、作ったキャプションや文章などのチェックは、虎屋文庫にお願いしていました。
社内にそういった部署があるというのは、とても心強いですし、いつも助けられています。
和菓子とフランス菓子の、可愛くて豊かな世界。この展示室内にいるだけで、とても幸せな気持ちになれておすすめです。4/11まで、どなたでも無料でご覧になれますので、ぜひ訪れてみてください。
『ようこそ!お菓子の国へ ―日本とフランス 甘い物語―』 展示風景
第2回も引き続き、ギャラリーの企画・運営を担当されている小谷さんにお話をうかがいます。
小谷さんのこれまでのキャリアや、お好きな和菓子のお話しなど、たっぷりとお伺いしました。お楽しみに!(第2回につづく)
★他のインタビュー記事を読む
日本女子大学・内村理奈准さん
静嘉堂文庫美術館 館長・河野元昭さん
★その他のインタビュー記事はコチラ
ようこそ!お菓子の国へ
―日本とフランス甘い物語―
2020.09.26~2021.04.11
開催終了
虎屋 赤坂ギャラリー
Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
Writer | naomi
採用PR・企業広報職、Webメディアのディレクターなどを経て、アート&デザインライターに。
作品と同じくらい魅力的な、作家の人となり・ストーリーも伝えたくて書いてます。
好きなもの・興味関心と守備範囲は、古代文明からエモテクのロボットまでボーダーレスです。