Be-dan
2020.8.10
今月のBe-danは、大注目の彫刻家・瀬戸優さんにインタビュー!
東京・京都での個展では、あっという間に完売してしまった瀬戸さんの彫刻作品は、表情豊かで今にも動き出しそうな魅力があります。
第2回は、そんな彫刻との出会い、子どもの頃や学生時代のエピソードについてお聞きしました。
(第1回はコチラ)
7月に行われた東京の個展。早々に完売したそう!
―瀬戸さんは、どんなことが好きな子どもでしたか?
母方の祖父の影響で、自然科学がとても好きでした。博物館に連れて行ってもらったり、山の中で花や虫を採ったりしていました。幼稚園の頃の将来の夢は考古学者だったくらいです。
絵を描くのもずっと好きで、博物館で見た恐竜を描いて、母に褒められると嬉しくてまた描く、という。今も、制作しているときは童心にかえって、もう本当に夢中になって時間を忘れます。ぼくの制作活動の根源は、本当に、全て幼い頃に集約されていますね。
中学生や高校生の頃は数学が得意でずっと理系だったので、大学も理系に進学するつもりでした。でも、高校2年の夏頃、志望校の進路希望を学校に提出するときに、このままでいいのかなって。
当時は、5教科・英数国理社で大学に行くことが当たり前で、美術で大学に行く、なんて頭にもなかったです。
―そうだったんですね。絵を描くことは日常的に続けていたんですか?
はい、イラスト的なものですが、変わらずその頃も描いていました。美術の授業も好きで、特段センスがあった訳でも、絵が天才的に上手い訳でもなかったですが、やっぱり絵を描くことが一番好きでした。
得意なことより好きなことがいいなと思い始めて、“美大っていうところがあるらしい、美術予備校に行かないと入れないらしい”と知り、高校2年の終わりに初めて、美術予備校に行きました。
―それは、先生かどなたかに聞いたんですか?
はい。高校にいた美術の先生が、美術予備校で講師もされていたんです。紹介してもらって体験に行ったら、カルチャーショックの連続でした。“え!絵を描くことだけが美術じゃないんだ!”というレベルだったので(笑)。
そこで、同級生が彫刻をやっているのを見て感動して。それまで彫刻って、“学校にある銅像や街中のモニュメントを、国や県から依頼を受けた人間国宝みたいなすごい人が作る”みたいなイメージで。
―とても遠い存在だったんですね。
それを同級生がやっていたので、「僕でも作れるようになりますか?」と先生に聞いたら、「すぐ作れるようになるよ」と言われて、もうワクワクして。
最初は絵を描こうかと思っていましたが、思いきって彫刻を選びました。
―そのタイミングから美大を目指すのは・・・わりと受験が迫っていませんか?
高3から美大を目指す人は意外にいるので、全く遅くないです!きちんと予備校に通い始めたのは高3の夏以降ですね。週6日で朝9時~16時まで、1年浪人して夜はバイトをしながら、通いました。
―かなりハードな浪人生活ですね・・・。ちなみにご両親には反対されなかったですか?
まぁ、最初はされましたね。やっぱり、仕事があるのか?というイメージで。でもデザインと彫刻は立体物が作れるので、映画やゲーム、車、おもちゃ、家具などなど、実は就職先がたくさんあるんですよ。
―なるほど、言われてみれば確かにそうですね。
大学生・大学院生として過ごした期間は、どんなことが印象に残っていますか?
もうとにかく、社会人になりたくてなりたくて。早く大学を辞めたかったです。
―え!そうなんですか!?
作品を発表しても、“学生の作品”とレッテルを貼られ、安く見られがちなことが本当に嫌でした。学部2年くらいから学外でどんどん作品を発表して、アーティストとして売れることばかり考えていましたね。
いわゆる“藝大ブランド”も使いたくなくて、「彫刻家の瀬戸優です」と名乗っていました。そうやって活動を続けていくうちに、周りからの反応も変わっていきました。
大学2年生の頃(2015年)、テラコッタの実習での作品(瀬戸さんInstagramより)
―大学卒業より、社会人として自立することを目指して作家活動に取り組んでいた瀬戸さん。ストイックな一面が垣間見えましたね。次回は、そんな瀬戸さんの大きな転機となったエピソードをお聞きします。お楽しみに!
(第3回につづく)
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Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。
Writer | naomi
採用PR・企業広報職、Webメディアのディレクターなどを経て、アート&デザインライターに。
作品と同じくらい魅力的な、作家の人となり・ストーリーも伝えたくて書いてます。
好きなもの・興味関心と守備範囲は、古代文明からエモテクのロボットまでボーダーレスです。