Be-dan

マンガ家・にしうら染さんにとって美術館とは?おすすめの美術館&鑑賞法も!(4/4)

2020.6.22

今月のBe-danは、アート系マンガ家のにしうら染(そめ)さんにインタビュー!

印象派画家クロード・モネが主人公のマンガ『モネのキッチン』などを手掛けています。

 

最終回では、印象派や西洋絵画を愛するにしうらさんに、その魅力や、初心者にオススメの美術館、作品の楽しみ方などをたっぷりお聞きしました!

第1回第2回第3回

 

―3回に渡って、にしうらさんがお好きな印象派、西洋絵画についてお聞きしてきましたが、にしうらさんが考える”西洋絵画の魅力”って何だと思いますか?

 

自分と全く違う世界や時代の一部を切り取って、一枚の作品として見せてくれるところです。

例えばフラゴナールの《ぶらんこ》はロココ時代に描かれたものですが、18世紀フランスの貴族たちの奔放な恋模様や優雅なファッションが楽しめます。

にしうら染さん インタビュー

ジャン・オノレ・フラゴナール《ぶらんこ》1767年

 

印象派の絵画なら、19世紀フランスの景色や人々の暮らしがわかりますよね。食事をしている風景は、なんだか親近感がわきますよ。今とそんなに変わらないなぁと思います(笑)。

絵を見ることで、違う時代に生きた人たちの暮らしを知ることができる、知らない世界の様子がわかるって、面白いですね。

 

―絵を観るとき、描かれた時代や日常がどんな感じだったのかな、って想像して楽しまれることが多いですか?

 

そうですね、キャプション(作品の解説文)は見ずに、まず自分でシチュエーションや描かれたバックグラウンドを想像してみます。その後、答え合わせ的にキャプションを読んで、そうだったのか!って。初心者の方にもオススメの楽しみ方だと思います。

 

また、画家の演出意図を考えながら鑑賞することもします。プロが考えて描いているので、絵の前に立って最初に目に飛び込んできたところに、なぜ自分は注目したんだろう?色?描かれている密度?背景との対比?など考えていくと、とても勉強になります!

 

 

―プロの描き手ならではの鑑賞法ですね!

では、これから西洋絵画について知りたいと思っている初心者におすすめの美術館を教えてください。

 

すでに何度か出てきていますが、やはり上野の国立西洋美術館の常設展ですね。

印象派だけでなく、中世からピカソなどの近代まで、幅広く作品が揃っているので、きっとお気に入りが見つかると思います!

 

にしうら染さん インタビュー

国立西洋美術館

 

国外だったらパリのオルセー美術館です。印象派やポスト印象派の有名な絵が揃ってますからね。

 

 

―本で観るよりも美術館に行って直接、鑑賞する方が良いと良く言いますが、“その場に行く魅力”って何でしょうか?

 

やっぱり美術館で本物を観ると、印刷物やテレビなどでは分からない筆のタッチなどが分かりますし、“人が描いたものなんだ”という驚きや感動があると思います。実物を観て、その魅力に取りつかれてほしいですね(笑)。

 

もし西洋絵画の本を探す場合は、マンガ部分を担当した『はじめての西洋美術』(朝日新聞出版)もそうですが、絵の解説だけでなく、描かれたモチーフの意味を解説する本や、画家の人となりに迫った本など、いろんな切り口の本が出ているので、ぜひ書店でいくつかパラパラと見てみてください。

自分の「好き」にフックするものを見つけてほしいです。もっと興味がわいて好きになっていくと思いますよ。

 

にしうら染さん インタビュー

にしうらさんのマンガも楽しめる『はじめての西洋美術』(朝日新聞出版)

 

―なるほど、参考になります。

最後に、にしうらさんにとって「美術館」とはどんな場所ですか?

 

“古い友人と会える場所”ですね。

古い友人とは、昔から観ているモネの≪陽を浴びるポプラ並木≫や≪睡蓮≫などの作品のことです。絵の前に行くと、「また会ったね」という気持ちになるし、環境の変化で心細くなったときも、美術館に行くことで安心できます。

にしうら染さん インタビュー

クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館蔵

 

同時に、同じ絵でも年齢を重ねると、観るたびに感じることが変わっていきます。好きなポイントが増えたり、よくわからなかった作品も「こういうことが描きたかったのかな」とふいに感じたり。そんな自分自身の変化にも気づかせてくれる変わらない友人がいる場所。

それが私にとっての美術館です。

 

―4回にわたってご紹介した、アート系マンガ家・にしうら染さんのお話、楽しんでいただけましたか?

印象派の画家たちが、どうやって“印象派”と呼ばれるようになったか、美味しそうな料理の数々とともに魅力的に描かれている、にしうらさんのマンガ『モネのキッチン』(全2巻・秋田書店)もぜひ手に取ってみてくださいね!

 

次回のBe-danもお楽しみに!

 

 

にしうら染 

サイト: http://sen.hiho.jp/sensyoku/
Twitter: https://twitter.com/_some

★『フランスふらふら一人旅』は、美術館編と、アパルトマン編の2作品のラインナップです!

・美術館編(https://nsur.booth.pm/items/1820994

・アパルトマン編(https://nsur.booth.pm/items/2060004

 

 

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Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。

『モネのキッチン』読み応えあります!おすすめ♪

 

Writer | naomi

採用PR・企業広報職、Webメディアのディレクターなどを経て、アート&デザインライターに。
作品と同じくらい魅力的な、作家の人となり・ストーリーも伝えたくて書いてます。
好きなもの・興味関心と守備範囲は、古代文明からエモテクのロボットまでボーダーレスです。

note  https://note.com/naomin_0506

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