Be-dan
2019.5.13
第3回:最近の活動内容を教えて頂けますか?
作詞家業から始まり、ご自身が副編集長をつとめるWebサイト『La vie pianissimo』でアートや映画など、カルチャー全般の魅力を日々発信されている新 麻記子さん。
最近は東京都内の『ワインワークス南青山』や香川県小豆島の二十四の瞳映画村内の『Gallery KUROgO』にて、作家選定からPR全般まで手がけるなど、活動の場を広げていらっしゃいます。
インタビュー第3回では、そんな新さんに最近の活動内容について聞いてみました。
—2018年頃から、ライター業だけでなく、アートに関わる様々な活動を積極的に手がけられていますよね?
そうですね。自分でも肩書きがよくわからなくて、しっくり来る肩書き募集中です(笑)
でも、「ワインワークス」も「映画村」も、最初はライターとして日々活動する中で、人のご縁を通して頂いた仕事なんです。それぞれの仕事は一見バラバラな内容に見えますが、私自身の中では一貫しているんです。私はいつも「アートを通して人と社会を結びつける仕事がしたい」と考えています。
アートシーンという閉じた世界の中だけで完結する仕事をするのではなく、もっと社会全体に対してアートの魅力を伝えたいんです。正直なところ、私は美術について専門的な教育を受けてきたわけではありません。学術的に詳しく解説したり、専門的な知識を伝えたり、そのような方々は私の他にもたくさんいるので、それは私がやる仕事の領域ではないと思っています。
そうではなく、私はもっとアートの価値や面白さが理解されるような社会を作っていきたい。「ワインワークス」も「映画村」も、既存のアートシーンの「外側」に接点を持つことができる仕事だったので、ご依頼頂いた時に挑戦してみようかなという気持ちになれたんです。
—敢えて、アートシーンの外側にいる人々にアートの面白さや魅力を伝えていく仕事をされているんですね。でも、そうなると苦労も多かったりするのではないでしょうか?
そうですね。まず、企業にアートの価値を理解してもらうという点が難しいです。どうしても、「アート≒娯楽」みたいな感じで受け取られがちなんですよね。「好きなものを作って遊んでいるだけで、お金がもらえるのってどうなの?」みたいな形で揶揄されることも多くて。まだまだ「好きなことをしてお金を稼ぐ」ことを「悪」と捉え、アートの価値に気付けていない人も多いですね。でも、この世の中に何千年も残り続けているアートやカルチャーを大切にできない社会って悲しくないですか?
アートの作品制作にはじまり、鑑賞したりすることは、私達が大切にしている日々の暮らし、そして社会や文化を紡いでいくことに他ならないんです。そのことを、もっとしっかりアピールしていかなければならないと思っています。それと同時に、活動を継続するための「お金」が回る仕組みもしっかり作っていく必要があります。
確かに作家や私は「好きなこと」をしているんだけど、社会に参加して価値を生み出していくためには、「アートが好き」な方々に向けてだけでは成り立ちません。生活を含めて、活動を継続するための「お金」が必要なんです。そのためにも、アートが好きな人だけが集まる閉じた世界で完結するのではなく、幅広く社会全体を巻き込みながら、アピールしていく必要があると感じています。
また、私自身の仕事内容についても、まだまだ世間の認知度が低いのもこれからの課題だと思っています。作家と企業の間に立って、アートの魅力や価値を社会に伝えていくための「橋渡し役」も大切な役割なんだ、ということをもっとアピールすることで、アートに接する職業が “職業” として成り立つ土台を作っていかなければならないなと感じています。結構毎日が戦いですね(笑)
(第4回へ続く)
新 麻記子(しん まきこ)
作詞家/ライター/コーディネーター/キュレーター/ディレクタ
作詞業をベースにフリーライターとして執筆活動をおこなう。
「アートの輪を広げていきたい。アート×社会×人を繋げるお手伝
WEB媒体「La vie pianissimo」の副編集長をはじめ、企業への仲介/紹介
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。