Be-dan
2019.5.20
第4回:最近のおすすめ展覧会を教えてください!
インタビュー第3回では幅広く活躍する新 麻記子さんの最近の活動内容や苦労話についてお聞きすることができました。そんな新さんが活動のベースとされているのはやはり美術展。首都圏を中心として、日々独自の視点で展覧会を見続けている新さんに、おすすめの美術展をお聞きしてみました。
—この記事がアップされる2019年5月時点で、おすすめの展覧会を一つ教えて頂けますか?
最近観た展覧会の中では、横浜美術館開館30周年の記念展『横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館』が一番良かったですね。展覧会全体のメッセージ性もいいし、現代アーティストを交えてのコレクションも凄く素晴らしいです。
もちろん、横浜美術館が所蔵している昔の巨匠たちの作品も網羅されていて、新旧問わずミックスして展示されているのも面白いですよね。アートを通して世界を見つめるためのヒントをたくさん学べる展覧会だったと思います。また、横浜美術館は写真のコレクションが素晴らしいんです。写真黎明期の作品から現代写真まで網羅されています。
私もここの写真コレクションが観たくて、横浜美術館には随分と通いつめました。特にロバート・キャパが好きなんです。是非、写真コレクションも含めて横浜美術館の「Meet the Collection」に行ってみてくださいね。おすすめです。
―最後に、何か読者の方にメッセージがありましたら、お願いします。
実は、私はアートに救われたという経験があるんです。アートと出会うまで、私は生きていくのが本当に辛かった。現実を見てみると、毎日世界のどこかでテロや紛争、虐待のニュースが絶えなかったりしますよね。その事柄の大小に関わらず、人間って人間を裏切ったり、傷つけたり、同類でも、近親でも、してしまう。何故こんなに酷いことができるのだろうか、人間という枠にいる自分もそうではないのだろうか、現実世界を絶望的な気持ちで過ごしてきました。でも、人間って、何故こんなことをするんだろうと一人で考えてみても、当たり前ですけど“答え”って出ないですよね。
アートと出会って、作品を読み解きながら歴史や社会を学んでいくうちに、“人間”そのものをより深く知ることができたんですよね。この時代はこういう時代背景があったから、残念な事件が起きてしまったんだ、とか。アートを通して人間の思考作用・行動原理を学ぶ中で、自分自身とも向き合ってより深く考えるようになりました。結果的に、それが他人や自分をより深く理解することにつながり、許せる範囲が増えたんですね。他人にも、自分にも、寛容になれたというか。
だから、美術館に行ってもただ絵を見て「あ、きれいだな」だけでいい思い出として終わらせてしまうのではなくて、そこからもう一歩踏み込んで自分なりに考えたり、映画や文学、ファッションなど他にも興味を繋げていってみてほしいですね。点と点がつながった時には、必ず実生活に応用できるような学びや気付きがあるはずなんです。アートって、人を理解するための学びがいっぱい詰まった教科書なんです。
次回のBe-danは…???
新 麻記子(しん まきこ)
作詞家/ライター/コーディネーター/キュレーター/ディレクタ
作詞業をベースにフリーライターとして執筆活動をおこなう。
「アートの輪を広げていきたい。アート×社会×人を繋げるお手伝
WEB媒体「La vie pianissimo」の副編集長をはじめ、企業への仲介/紹介
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。