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「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」見どころとは?
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2019.8.5

810日から東京都写真美術館にて、TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」が開幕します!

本展の企画を担当されたのは、東京都写真美術館の学芸員・桝田言葉さん。

なんと今回が初めての企画担当だそう!

インタビュー第1回では、桝田さんが「写真の時間」をテーマに選んだ経緯や、展示作品、見どころについてたっぷり語っていただきました!

 

 

TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」は、担当される初めての展覧会なのですね。

 

そうですね! 実は人生で初めてなので、ドキドキしながら現在最後の追い込み作業に入っています。(インタビュー日は開催日前)

 

TOPコレクション」展は、毎年定期的に開催されています。今年度はこれが第2弾ですよね!

 

はい。東京都写真美術館では、「TOPコレクション」展を毎年開催していますが、2019年度は「イメージを読む」シリーズとして、「場所をめぐる4つの物語」(5/14~8/4)と「写真の時間」(8/1011/4)の2本立てです。

 

春と秋では、やはりコンセプトを変えているのでしょうか?

 

そうですね。「イメージを読む」という軸は共通なのですが、担当する学芸員同士で話し合いを重ねてコンセプトを決めていきました。春の展覧会が「場所」をテーマとしていたので、それなら私は「時間」にしようと。

 

せっかくなので、ぜひ作品をいくつかご紹介いただきながら、展覧会の見どころを教えていただけますか?

緑川洋一《ほたるの乱舞》〈瀬戸内海とその周辺〉より 1957年 ゼラチン・シルバー・プリント 

東京都写真美術館蔵

 

例えばこの作品を見て下さい。空中にホタルが乱舞している様子を撮影した写真です。一定の時間、シャッターを開けたまま撮影したことで、光の移動が記録されています。普段私たちはホタルがといえば、光が点滅する様子を想像すると思うのですが、この作品ではホタルが舞う動き自体が収められているんです。目に見える形で、光の軌跡として「時間」が捉えられている写真、ということで取り上げてみました。

 

展覧会のメインビジュアルとして選ばれているこの作品も不思議な味わいでした。ここにはどんな「時間」が潜んでいるのでしょうか?

米田知子 《安部公房の眼鏡―『箱男』の原稿を見る》〈Between Visible and Invisible〉より 2013年 東京都写真美術館蔵

 

これは米田知子さんという作家の<Between visible and invisible>というシリーズなのですが、彼女はこのシリーズで安部公房やマーラー、谷崎潤一郎、ヘッセなど、20世紀の著名な文化人が生前実際に使用していた眼鏡を通して、彼らの原稿や楽譜などを写した作品を制作しているんです。

 

―面白い仕組みですね。

 

持ち主のメガネを通して原稿を見ることによって、作品のこちら側にいる私たちに、当時その人が何を考えていたのか、心の葛藤や感情などを想像させるかのようですよね。擬似的に、眼鏡の持ち主の「眼」になって作品を覗き見るという体験によって、鑑賞者は書かれた原稿や楽譜を作成した「時間」、それを見ている「時間」を追体験できます。

 

さらに一歩引いてみると、過去との距離感や「時間」の隔たりなど、想像力をふくらませながらいろんな「時間」を体験していただけると思います。例えばメインビジュアルに使用しているこの作品≪安部公房の眼鏡―『箱男』の原稿を見る≫は、安部公房の小説「箱男」の原稿を写しているのですが、この小説作品自体がカメラの比喩のようなところがあるんです。安部公房自身も写真を撮っていたり、カメラの仕組みだったり、世界を覗き見るということに関してとても意識的だった。そんな人物にまつわる写真を撮っているのは、やはり偶然ではないだろうということでカメラと写真の関係性を味わう上では非常に面白いのではないかなと思って取り上げました。

 

 

 

―いろんな視点を持つことができる作品だということですね。

 

そうですね。しっかりとした調査に基づきながら、何か具体的に限定するということではなく、余白から想像できる、探っていけるというのが米田さんの作品の興味深いところです。今回の展覧会では、それ以外にも「制作の時間」、「イメージの時間」、「鑑賞の時間」という3つのキーワードで、国内外で34名の著名な作家さんの作品を展示しています。ぜひ、いろいろ想像力を膨らませながら楽しんでいただければと思います!

第2回につづく)

 

東京都写真美術館

8/10~11/4 「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」

公式ホームぺージ:https://topmuseum.jp/

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive

 

 

Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。のんびりやってます。

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