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東京都写真美術館の「裏側」を探る!
作品はどうやって保存しているの? 
(3/4)

2019.8.19

東京都写真美術館学芸員・桝田言葉さん。インタビュー第2回では、桝田さんが学芸員を目指したきっかけや、普段のお仕事についてお聞きしました。

第3回では、東京都写真美術館のコレクションの保存についてなど、普段聞けないお話について詳しく掘り下げていきます!

 

 

 

 

―年2回の収蔵品展では、国内外問わず幅広い時代の著名な作家の作品が並んでいますよね。やはり膨大なコレクションをお持ちなんですね!

 

そうなんです。国内最大級の写真・映像の専門美術館として、35,000点を超える所蔵作品を収蔵しています。

 

―すごい点数ですね! 作品は、どのように保存されているんでしょうか?

 

まず、館内にはそれぞれカラー写真とモノクロ写真、映像専門の収蔵庫があります。一点一点の作品については、プリントをマットという中性紙に挟んだ状態で専用の箱に入れ、更にそれをストレージボックスに入れて棚で管理しています。

 

 

 

―「光」や「温度」などの管理にはやはり気を使いそうですよね?

 

写真は絵画作品などと比べると、温度変化、pH値の変化や化学変化などで劣化が進みやすいので、非常に配慮する必要があります。たとえばカラーとモノクロでは収蔵庫で管理している温度も違っていたりするんです。カラー写真の収蔵庫だと、常に10度、湿度は50%で管理しているのでかなり寒いです(笑)。

 

―やはり管理はとても大変なんですね。

 

そうですね。どの美術館にも言えることだと思いますが、展覧会を通して作品を見ていただくだけではなく、作品を未来永劫保存して、次の世代に伝えていかなければならないというミッションもあるんです。作品を展示する際も、「年間に何ルクスの光を何日間当ててよい」という厳しい基準を設けていて、それを越える期間以上は展示しないよう、展示と保存状態のバランスを取りながら、作品を管理しています。

川内倫子〈Illuminance〉より

2009年 発色現像方式印画

東京都写真美術館蔵

 

 

 

―そういえば、3年前の大規模な設備改修の後から、以前にもまして作品が見やすくなったような気がします。写真の管理とも関係していそうです。

 

実は、2016年にリニューアルオープンした際、作品への負担を軽減するために全面的にLEDライトを導入しました。なおかつ、展示した際に写真に奥行きが感じられるよう、スタッフ全員でどんなライティングがベストか考えました。改修の間に、19世紀の初期写真から現代写真まで、いろんなタイプの写真で検証を重ね、最新の照明設備を導入しました。

 

―それ、わかります! 東京都写真美術館の館内で見る写真はどれも立体感や臨場感があって特別な感じがしますから。

 

この空間で他のところで見るよりもとても良く見えるというのは、ライティングや設備的によるところも大きいと思います。写真を見るために一番ベストな環境がここにはあるので、ぜひ気軽に作品を見に来てくださいね。普段とはちょっと違う特別な空間で作品を味わっていただくと、きっと写真がもっと好きになれるし、新しい発見が沢山あると思います!

 

いかがでしたでしょうか?

写真の管理は難しそうなイメージがありますが、実際とても気を使うものなんですね。

次回、最終回では、いよいよ桝田さんのアートを楽しむ切り口についてお聞きしていきます!

第4回につづく)

 

東京都写真美術館

8/10~11/4 「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」

公式ホームぺージ:https://topmuseum.jp/

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive

 

 

Editor | 三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。のんびりやってます。

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