Be-dan
2020.5.11
今月のBe-danは、藝大アートプラザのチーフアートディレクター兼店長、伊藤久美子さんにインタビュー!
第1回では、藝大アートプラザの楽しみ方をたっぷりと教えていただきました。続く第2回では、伊藤さんに店長やアートディレクターとしての仕事内容や、やりがいについてお聞きしました!
―伊藤さんの普段のお仕事について、教えていただけますか?
藝大アートプラザには、企画展と常設展示の二つのスペースで作品を展示していますが、私の仕事は主に、こうした作品に関わることです。企画展の立案から作家の選定、DMや会場装飾の制作進行、展示方法レイアウトの考案など、企画展業務だけでもたくさんあります。
藝大アートプラザ 常設展示 ※展示は撮影当時のもの
―藝大アートプラザでの仕事のやりがいについて教えていただけますか?
扱う作家の数が多いので、常に新鮮な表現や、自分にはない感性に触れられることです。さまざまな世代のアーティストの作品が一つの空間で紹介されているので、刺激のある展示空間だと思います。
―さまざまな層のお客さんが立ち寄られていますね! どのような作品が、購入されるのですか?
点数的には、生活の中で気軽に使えるうつわや、アクセサリー類がよく購入されています。私がこの仕事で興味深いなと思ったことは、良い作品は、お客様の心に響くことです。その作品を見て「いいね」と思うだけではなく、「購入したい」と思ってもらえることは、本当にすごいと思います。お金を払って、自分の手元に置くということは、作品を見て楽しむよりもさらに大きなエネルギーがいることだからです。作品を買っていただくということは、作品がお客様の気持ちを動かしたことの一つの結果であり、そうした瞬間に関われることがとても嬉しいです。
―接客で気をつけていることはありますか?
接客で大切にしているのは、お客様の第一声の向こうにあるお気持ちを見逃さないことです。会話をしながら「お客様が本当に望んでいること、知りたいことは何だろうか」と考えて接客しています。制作技法の話をしたり、作家個人のエピソードについて話したりと、臨機応変に対応します。が、実は作品そのものについての説明などをきっかけに、お客様ご自身のお気持ちやお好みをお伺いさせていただくことが大切だと思っています。
―伊藤さんの今後の目標や、藝大アートプラザでやってみたい企画や、イベントはありますか?
一番の目標は、「一人でも多く、アートを買ったことがある人を増やす」ことです。日常生活の場にアート、つまり他者の感性や存在があることは、関係性や対話を生み、とても良いと思うんです。だから、今は作品を購入する余裕がない若い方にも、アートプラザのような場所で作品に触れ、より買いやすい価格である「グッズ」や本なども通じて、アートに親しんでいただき、自由になるお金が出てきた時の、「アートを買う」きっかけにつながればと思っています。
藝大アートプラザ オリジナルグッズ(一部)
アートに対してお金を出すことは、ほとんどの人にとって新しい経験なので、少しだけ勇気のいることだと思っています。だから、もっと心のままに「アートを買う」最初の一歩を踏み出してもらうための企画をいつも考えています!
身近にアートのある生活はとても素敵ですよね。取材日に展示されていた作品も、お金に自由があったら家に飾りたいと思うものばかりでした。続く第3回では、アーティストとしての伊藤店長について詳しくお聞きしました。次回もお楽しみに!
(第3回に続く)
編集が気に入った作品 佐々木怜央《ある日から見ない白猫のために》55,000円
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。