Be-dan

現役アーティストとしても活躍中!作品の魅力やキャリアなどをお聞きしました(3/4)

2020.5.18

今月のBe-danは、藝大アートプラザでアートディレクター兼店長の伊藤久美子さんが登場!

第2回では、仕事内容や、やりがいについて教えていただきました。続く第3回では、現役アーティストとして活躍中の伊藤さんに、アーティストとしてのキャリアや、作品の魅力に詳しくお聞きしました!

 

 

―作品を拝見しました!不思議な透明感がありました。水彩絵の具などでしょうか?

 

油絵などを描くための下地製法のひとつである「白亜地(はくあじ)」をアレンジして、学生の時から試行錯誤してきたオリジナルの技法で制作しています。膠(にかわ*)に胡粉(ごふん*)と水彩絵の具をまぜた溶液を、微妙に色の変化をつけ、重なり合った色によって現れる表情を探りながら、薄く何十回も塗り重ねるので、根気のいる作業です。

 

*膠:動物の骨や皮などを水で煮た液を、かわかし固めたもの。ゼラチンが主成分。粘着剤などに使う。

*胡粉:日本画で用いる、貝がらを焼いて作った白色の顔料のこと。

「souvenir」2018年制作

606×606㎜ パネルに綿布、白亜地、膠、顔料、水彩絵具、ラピスラズリ

 

 

―素材や技法にこだわりを持って、制作されているのですね!

 

大学で所属していた研究室の影響もありました。キャンバスや絵の具など、それまで当たり前のように使ってきた既存の素材を見直すところから自分の制作を考えていこうという方針だったので、自由にオリジナルの素材や技法を探求することができました。

 

―もともと素材に興味があったのですか?

 

予備校時代から絵を描く時に、素材であったり、表面のテクスチャーに興味やこだわりがありました。実は油絵の具のテクスチャーに違和感があり、入学当初は、紙と鉛筆だけで自分のスタイルを探っていました。真っ白の紙に、7Hか8Hの非常に硬い芯の鉛筆で抽象的なモチーフを描きながら、自分にとって最適の素材・技法とはなんだろうか。それを探るようになりました。

 

―店長のお仕事と、アーティスト活動の両立は大変そうです。作品制作にあたって何か心がけていることはありますか?

 

制作のためにまとまった時間を確保することです。ちょっとした分量や色の違いなどで、出来上がりが違ってくる繊細な素材を扱っているので、心や感覚が制作モードにしっかり入っていないとうっかり失敗してしまうんです。そのため、スキマ時間を有効に使うということが未だにできないんです・・・。作家活動を続けていく上では、今後の大きな課題だと思っています。

 

個展会場風景(2019年、法隆寺画廊)

 

―作品と向かう時は、徹夜で行われることも?

 

そうなんです。休日の深夜などを活用して、アトリエにこもって集中するようなスタイルが多いです。

 

展示の直前などは、ほとんど寝ないまま搬入に行くこともあります。でも、藝大アートプラザでの仕事と作家としての活動の両方を続けることが、どちらにとっても良い影響をもたらしてくれるので、続ける力となっています。

 

藝大アートプラザで、さまざまなアーティストの話を聞いたり、その作品を見たりすることで得られるものが、私の感覚や視野を広げてくれます。また制作中の研ぎ澄まされた感覚が、展示作品と相対する時や、接客時のコミュニケーションに生きてくるんです。仕事と作家活動が絶妙にリンクしたので、ここまで続けてこられたのかなと思います。

 

 

藝大アートプラザのお仕事と作家活動の両方が、伊藤さんのキャリアを支えるかけがえのない要素になっているのですね!

 

伊藤さんの作品は、じっと見ていると心が研ぎ澄まされる、ステキな作品でした!第4回では、四半世紀以上アートを探求してきた伊藤さんならではのアート鑑賞法を教えていただきます!(第4回に続く)

 

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive

 

 

Editor | 静居  絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

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